今日はテニス部の助っ人です。テニス部はもうすぐ試合らしいです。でもレギュラーの1人が怪我したらしく、大事な試合なのでどうしても…と言われたので引き受けました。テニスは得意だからすっごく楽しい!

……でも部員の視線が痛い。レギュラーじゃない子の目が…怖い。ごめんね、でもキャプテンが頼んできたんだよ。私の所為じゃないんだよ。だからそんなに怒った顔しないで…部室にも行き辛いじゃん…先に教室行ったって良いじゃん…許してよ…キャプテンに文句言って、よ…?あれ?…土門、くん、じゃないか、あれは!いやあラッキーだ、な…鍵開いてる…キャプテンこれじゃ危ないよ…しかも私さっき鍵受け取った意味ない…

あ、れ、今日はサッカー部の朝練はない筈(調査済み)、なのに何で今部室から…ああ、イナビ…なんとか修練場(調査済み)のデータか。影山、そーすい、だっけ?も徹底してるなあ。選手にまでさせなくて良いと思うけど。って言うか影山さんフットボールフロンティアの会長、だよね?データ改ざんとかしちゃえば…って流石にそれはしないか。…土門君くん、やっぱり、なんか、元気、なかった、な。はあ、…やっぱりテニス部部室良い匂いするなあ、爽やかって言うの?何か、こう、スポーツしてる女の子って感じ!…あれ、話が反れちゃった。まあ、いっか。早く着替えよう。気まずいし。


「まゆこーっボール取ってー!」

私が部室から出るなりそう言いながら走ってきたテニス部キャプテン。すぐ後ろにはボールが入ってる籠。ああ、落としたのか。ボールは倉庫?車庫?までするすると転がって行く。分かった、と半ば疲れ気味のキャプテンに返事をして取りに走る。キャプテンはそのまま部室へ入って行った。あ、そう言えばさっきジャージに着替えて部室から出た時冬、かい先生?が車庫に入ってたなあ。まあ、もう出て行っただろうけどさ。…で、ボールは、あ、


『先生!』

……!!びっ…くりしたあ、車庫、誰か居るの、かな。思わず隠れるように座り込んでしまった。

「何だ、君でしたか。脅かさないで下さい」

冬海、先生っぽい声。あの人、まだ居たんだ。あんな所に何分も…一体何を…

『こんな所で、何やってたんですか?』

…!土門、くんの声…!…どう言う事だ、ちょっと、待って。えっと、土門くんと冬海先生が話すのは別に、変な事じゃない。先生はサッカー部の顧問だし。…でも、先生の「何だ、君でしたか―」がおかしい。もし冬海先生が何かしていたら土門くんにも警戒…ああ、何だ。簡単な事じゃん、ふうん、データ不足だったわけね、私の。


先生も、帝国からの、スパイなんだ。吉岡が「冬海先生って全然部活見に行ってないよなー職員室でよく見るんだよ」的な事を言ってたのも納得出来る。別に、雷門を強くする必要ないもんね。

「ああ、1つだけ忠告しておきますよ。このバスには乗らないことです」

…細工、した、ってこと…!?何も、其処まで。しな、く、ても…


……注意力散漫。先生、私に全く気付かなかった。今一つ、足りないなあ。土門くんと言い、先生と言い。警戒心、足りない。…そんな事より。影山総帥、恐ろしい人だ、危険、の方が正解、かな。そんなに勝利が必要、かな。いや、むしろ、そんなに雷門と闘いたくないの、かな。だって、鬼道くんや佐久間くん、源田くんや他のメンバーは充分な実力を持ってるし、わざわざこんな小細工(小、ではないか…)しなくても良い、の『せんぱ、い…?』…!

「どもっ…く、」
『もしかして、今の…』
「あ、その、聞くつもりは、なかったんだけ、ど…ね」

ボール、と言って無理矢理笑ってみせながら手に持っていたテニスボールを持ち上げる。ああ、と土門くんは困ったように、焦ったように力なく笑った。

『今日は、テニス部の助っ人、ですか』
「うん、レギュラーの子がケガした、らしく、て」

いつもの風景である筈の私たちに、いつもの笑顔はない。

「良い天気だね、今日も」
『そう、ですね』
「土門くん」
『…なん、すか』
「チョコ食べる?」
『…ッ…雲一つない空、ですね』



私たちは歩き出した。教室には行かない。




今日は、良い天気なんだ。



そう言えば相手、秋葉名戸だったでしょ
ああ、そう言えば
私の勘も中々鋭いでしょ!
はは、ほんと

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文章が無理矢理な進め方に…

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