はぁ、今日も疲れた。超疲れた。まじ疲れた。あっついし。…もうすぐFF決勝か、早ぇーなぁ時が経つのは。実感沸かねぇ…わけじゃないんだけど(だって円堂やる気すげぇもん)、あっという間だったなぁ。

「じゃあ、また放課後な!」

着替えて部室から全員が出たことを確認して円堂が言った。1時間目、何だったっ「あ、す、かーッ!!」……!

『まゆこ!?』
「おはよーう!!」
『……おう』

背後から激しいタックル……じゃなくて抱き着いて来たのはまゆこだった。…うっわ、皆にやにやしてんじゃん。きょとんとしてんの円堂だけじゃん。やめようぜそう言うの!幼馴染だから!まだ幼馴染だから!!…まだって言うとなんか図々しい感じだけど!

「もう練習終わり?」
『ん』
「じゃあ一緒に行こッ!」
『うん、行くから離れて』
「はぁいッ!」

にこにこしながら回していた腕をぱっと離したまゆこ。俺の隣に回り込んで俺の腕を引っ張って「よし!行くぞー!!」と走り出す。バランスを崩しながらもなんとか直して皆に『じゃぁ、後でな!』と声をかけた。

『ちょ、まゆこ』
「んー?なぁに?」
『俺転びそうなんだけど』
「大丈夫だよ、飛鳥運動神経良いし」
『…はぁ、』

下駄箱に着いた瞬間まゆこは凄いスピードで上履きに履き替えていた。俺がいつも通り履き替えようとすると「早く!はやく!はーやーくー!!」とはんぱない催促。はいはい、と頭を撫でてゆっくり履き替える。

『そんな急いでも遅刻しねぇよ。むしろ超余裕じゃん。時間ありまくり』
「…そうだけどさぁ」
『ゆっくり行こうぜ、俺朝練終わったばっか』
「…えー、」

不満そうな顏。なになに、どうしたわけ?今日なんかある?や、何もない。歩き始めるとまゆこは俺の制服の裾を控え目に掴んで着いてくる。何、何でそんな残念そうなの。

『今日なんかあるわけ?』
「違う、けど」
『じゃぁ何だよ、言ってくれないと分かんねぇよ?』
「……」

それから無言になって、階段を登りきった所でだって、とまゆこが小さな声で言った。

「だって、だってさ」
『ん、』
「飛鳥今日も放課後練習でしょ?」
『うん』
「明日も朝練あるし放課後も練習あるでしょ?」
『まぁ、決勝前だし』
「いっつも時間中々噛み合わないし」
『まぁな、』
「だからさ、」
『うん』
「2人でお話するの、今日がチャンスなんだもん」

……ドキッとしたーッ!なに!?可愛いこと言うなぁ全く!何これ、俺自惚れて良いわけ?良いんだよな!?

「今日だって超走ったんだから、」
『そっか』
「うん、」

いつの間にか強く掴んでいて、小さく皺が出来ている裾からまゆこの手を離して、代わりに自分の手を掴ませた。まゆこは目を丸くさせている。

『じゃぁ教室までダッシュするか、』
「…え?」
『2人きりで話すとか全然ないもんな、行くぞ、走るぞ』
「え、でも飛鳥練習終わったばっか…」
『関係ねぇよ、』
「…でも」
『行きたくないわけ?走るの、走らないの?』
「……行きたい!走る!」

にっこり笑って俺の手をぎゅっと握るまゆこ。俺はもう一度頭を撫でてまゆこの腕を引いて走り出す。





エデンまで数メートル




いっそサボるか?
それはッ…だ、め…だよ
真面目だなぁ、(ま、そんな所も好きなんだけどね)


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