「…あ、」
『あ、久し振り』
「おう」

コンビニ帰り、久し振りに会った飛鷹は学ランじゃなくてジャージだった。

『…あぁ、サッカー始めたんだっけ?』
「ん、」
『楽しい?』
「……」

あ、れ…黙っちゃった。

『え、楽しくないの?』

まぁ元々不良だった飛鷹にはスポーツなんて…と思ったけど結構進んでるよね、大会は。飛鷹はしっかりスタメンで出てるし。まあでも律義って言うか真面目って言うか…だから中々辞められない、って言うのもあるかもしれないな。楽しくないの?なんて答え難い質問をしちゃったかなぁ。塀に背を向けてしゃがみこんだ飛鷹の隣に、塀を背もたれにして立った。「…い、」地面を見つめながら小さく飛鷹が呟く。

『…ん?』
「たの、しい」
『ああ、そう。良かったじゃん』
「…けど、」
『……』
「けど、難しいな、サッカー」

喧嘩とは勝手が違う、と続けた飛鷹に私はまぁそうだろうね、と返した。私としては、飛鷹が楽しければそれで良いと思う。そう言いたいけれど、飛鷹が望んでいる言葉はそれで合っているのだろうか。よく分からない、塀から背を浮かせてしゃがむ。飛鷹がちらりとこちらを見たけれど、すぐに視線は地面へと戻った。うーん、難しい。まぁ頑張りなよ?…頑張ってるよね。そんなに難しいならサッカー辞めちゃう?…いやいや、楽しいって言ってたし。お疲れさま?…普通すぎる、適当すぎる!ごめんね飛鷹わたしッ「あ、」

『…飛鷹?』
「そろそろ、行かねぇと」

飛鷹はそう言って立ち上がった。私も立ち上がる。

『ごめんね、大事な時間を』
「いや、暇だったし」
『そっか』
「おう」

じゃあ、と歩き出した飛鷹の背中を見送ってコンビニの袋の中身を思い出す。100円と言う素敵な値段に惹かれて買ったフルーツ味の飴玉、急いで袋を開けて適当に一つ取り出す。…みかんか、まぁ大丈夫なはず!

『飛鷹ッ!』

くるりと振り返った瞬間に飴玉を投げる。おお、ナイスキャッチ!

『私は…、私は飛鷹が楽しければそれで良いと思うよッ!』

何も思い付かなかったから一番最初の言葉を採用。呆けていた飛鷹は「おう、」と笑って踵を返し手を振った。私は小さく頑張れと呟いて飴玉を一つ取り出して口に含んだ。

『…甘い』

私が食べたのはいちご味だった。




みかん味の笑顔といちご味のときめき





今の笑顔…、きゅんときた


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