例えば突然、世界中の人が何処かへ行ってしまって、私と飛鳥の2人きりになってしまったら。例えば、いつも通り学校へ向かって、通学路にはいつも通り雷門へ向かう生徒がいたのに教室に入ったら私と飛鳥だけだったら。

『…は?』
「いきなり2人になるの。いきなり静かになるの。廊下に出たら生徒がいっぱいで騒がしいのに」
『いや、は?』
「飛鳥はどうする?」
『どうするって言われても…』

真面目な顔で俺を見るまゆこ。こいつの望んでる答えは何なんだろう。

『まゆこだったら、どうすんの』
「私?私はねえ、びっくりする!」
『びっ…はあ』
「えー、駄目かなあ、」
『駄目、じゃ、ないと、思う。けど、なんかずっりぃな』
「ふふ、でも飛鳥もびっくりするでしょ?」
『そりゃするだろ』
「ね、正解」

正解、って……質問も変なら答えも変だな。

「あ、あとぉ」
『あと?』
「ラッキー、って思うかな」
『…何でまた』
「えへ、だって2人きりなら教室でキスとか、出来るじゃん」
『キ…ス、した、いの?』
「教室でキス、に憧れてるの」
『憧れ、』
「うん、少女マンガでよくあるじゃん」
『まあ、その辺はよく分かんねえけど』
「ラッキー、でしょ?」
『あー、うん、まあ』
「一瞬でも良いから、そうなってくれれば良いのに」

誰かそう言う魔法使えないのかな、って笑顔で言うまゆこ。魔法って…まあ似たような事出来る奴は知ってるけど。ムリだな、って言おうとした所でぱっと思いついた。魔法は使えなくても充分だろ。

『まゆこ、今日時間あるか?』
「あるよ?」
『じゃあ一緒に帰ろう。待ってて』
「うん、じゃあ玄関で…」
『いや、此処で』





例えば君が





教室で俺のことを待っててくれたら
俺は君の願いを叶えてあげられる。


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