「飛鳥くーん」
『先輩、』

練習も一段落ついたのでグラウンド脇のベンチ座って休んでると先輩がとことこと小走りで来て隣に座った。かと思えば肩貸して、と俺の肩に頭を乗せた。俺は小さくため息を零す。


『またですか。何してたんすか?』
「本読んでただけだよ…」
『はあ、』
「だって面白かったから、つい」
『つい、じゃないですよ』
「飛鳥くんにも貸してあげる」
『そう言うことじゃないです』
「遠慮しないでえ、」

肩に乗せていた頭をずるずると下げて今度は膝に頭を乗せた。先輩、と名前を呼ぶと返事はなかった。…もう眠ったのか。そろそろと体を動かしジャージを脱いで先輩にかけてやる。先輩がきゅ、と俺のジャージを掴むのを見て不覚にもときめいてしまった。


「あす、か、くうん」

なんてベタな…等と思っていてもどきどきしてしまう単純な俺の心臓が憎らしい。そんな気持ちを知らずに先輩は寝ていると言うのに。ふとグラウンドを見ると、円堂がいつ俺を練習に戻そうか迷っているのが見えた。軽く手を上げて円堂に合図をしてそっとベンチから立つ。枕代わりにタオルを先輩の頭の下に置いて頭を撫でた。気持ちよさそうに身じろぐ先輩が堪らなく愛しい。

『よし、やる気出た』





俺は貴方の、貴方は俺の




あ、ほんとに寝ちゃったあ
…土門くんの匂いがする


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