捧げ物 | ナノ




 僅かな肌寒さを感じて身を震わせる。目を開ければ、柔らかくなびくカーテンが視界を掠めた。こんなふうに風に乗れたらさぞ気持ちがいいんだろうな、なんて、どうでもいいことを考える頭はまだ寝惚けているらしい。
 日の傾きからして、恐らくもう7時は回っているだろう。けれど今日は休日だ、二度寝したって誰に迷惑をかけるわけでもないし問題ない――一旦寝返りを打って再度眠る体勢に入った。
 そのとき。

 「――ん、…? …あ、」

 きらり。
 深緑色の、きれいなきれいな光を見た。余りにも深い緑は、朝日に煌めいてその色を無意識に和らげ、源となっているやつと同じく、無自覚でオレを惑わせる。

 「…ははっ、寝ながら誘ってやがんの」

 ちょっとだけ、おかしかった。別に緑間は、オレを誘っているわけではないのに――オレは、緑間に欲情してしまいそうになっている。
 勝手に輝いてる、こいつが悪いんだ。オレは悪くない…緑間が、悪いんだ。

 「な、真ちゃん」

 こめかみに静かな口付けを落とし、自身を宥めるように囁く。緑間はまだ、目覚めていない。

 「オレさ、どんなお前にも興奮しちゃうんだ。お前の天然が、そうさせてるんだって思ってたんだけど、そうでもないみたい」

 "すき"が大きくなりすぎると、人間の本能がそうさせるのかもしれない。
 "あいしてる"が溜まりすぎると、相手に欲情するよう脳が指示を出す機能が、人には元から備わっているかもしれない。

 「……ありえねぇけど、な」
 「…ん…、たか、お…?」
 「なに、しんちゃん」

 勝手は、オレの方だって。そんなの、とっくにわかってて。
 薄く開いた眼から、先程の比ではない煌めきが、一気に辺りを照らしていった。それはきらきらの宝石みたいで、やっぱりオレを惑わせるんだ。

 「…おはよう、たかお」
 「あいしてるよ、しんちゃん」

 こう返せば、朝の挨拶くらいきちんとしろって、きっとお前はオレを諭すんだろう。
 でも、いいや。お前にならいくらでも、お説教だって聞いてやるよ。
 多分これが、愛の成せるわざ。




20130611
―――
オフ会お礼文にきりもんへ高緑――いつのだよ。ふざけんなよ。まじきりもんほんとごめん(全力土下座
あと短い上に意味不でごめんよ…最近話の方向性迷子常習犯になりつつあるんだ許せ…
こんなんでよければですが、きりもんのみお持ち帰り可です。4月のオフ会は本当に本当にありがとうございました!これからも宜しくねねねね!!




[back]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -