「とりあえずさぁ」
勤務中(サボリ中)見つけたこいつは万事屋アルバイト生。チャイナ娘に負けず劣らずのじゃじゃ馬で毒舌。
何故かサイゼイヤに居たらどこからか現れて目の前に当たり前かのように腰を降ろし、当たり前かのようにドリンクを注文し、当たり前かのように頬杖をついてじっとこちらを見つめてきた。
そしてふと、とりあえずさぁ、と言った。
「お前死ねよ」
発せられた言葉に刀を抜き振り下ろすが、姿を消した。
ばーか、そう聞こえたのはテーブルの下から。
刀をテーブルに突き刺せば、ハッズレーとケラケラと笑い声が返ってくる。
「お前が死ね」
今度は少し離れてバズーカを向け、ぶっ放せば女とは思えない悲鳴をあげた。
ふん、と鼻で笑った途端砂煙の中からフォークが音を立てて飛んでくる。
軽く避ければ砂煙の中からムキーッ、と猿のような声。
「猿女」
「うるせぇ腹黒猿!」
「お前の方が声でけェよゴリラ女」
「ゴリラだと?!」
砂煙が晴れれば地団駄を踏んで悔しがるななしの姿。
可愛くねェ女。
「お前なんか大嫌いだ!」
「俺の方が何倍も大嫌いでさァ」
僅かに痛む心の理由はわからない。
ただ目の前のこいつを見てると無性に苛立つのはわかる。
「だいたいゴリラはお前の所の局長だろうが!」
「丁度いいじゃねェか近藤さんにもらってもらいなせェ」
「っ……。お前なんかっ、お前なんかっ大嫌いだ!」
泣きながら走り去る奴。
その姿をみてズキリと痛む心。
俺だって、こうやって心を乱してくるお前なんか大嫌いでさァ。
本当は好きだって気づいている
end
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