「交換しませんー?」
事のはじまりは彼のこの一言。
何を考えてるかわからない瞳を見て意図を読もうとしたが、彼は"何を考えてるかわからない瞳"をしているんだ。
わかるわけが無い。
なにをかと問えば人差し指を立ててこれまたとんでもない事を言ってきた。
「先輩の心とミーのこのカエルの被り物なんてどーでしょー」
なんでやねん、とツッコむ。
日本じゃお決まりのツッコミだと本で読んだから。
「だってー、ミーはななし先輩が欲しいのになってくれそうにないですしー」
私を手に入れて何をする気だ、フラン。
あれか?ベル暗殺の手駒にする気か?
「違いますー。言ったじゃないですかー。ななし先輩の"ココロ"が欲しいんですー」
私の心を手に入れてベルを憎ませ暗殺させる気ね、フラン。
いくら私がフランより、ベルより強いからって……。
「勘違いしてんじゃねーよ。
先輩はヴァリアー最弱だろーがー」
言い過ぎよフラン。
むっつりレヴィよりは強いから。多分ベルと同じくらい強いから私。
「ベル先輩と同じくらいならミーよりは弱いと思いますー」
憎たらしい子ね。ベルとタッグを組んでメッタメタにしちゃうわよ。
「ベル先輩と組んでも無理だと思いますー」
わからないじゃない。
「わかりきってますー。
…ってゆうか話変わっちゃってませんー?」
そう言えばそうね。
「チッ…」
チッってなによ。
元はと言えば私をヴァリアー最弱だとか言ったフランが悪いんじゃない。
「ハイハイドウモスミマセン」
殴るぞクソガエル。
「ゲロッ。もう殴ってますよ先輩ー。
つか元の話が進まねーだろーが最弱先輩ー」
最弱先輩ってなんだし。
最弱先輩ってなんだし。
「そのまんまですねー」
最弱じゃないしレヴィよりは上だし。
「あの人は最々弱なんで先輩は最弱先輩ですからー」
くっそ。
「はい、解決ー。
でー先輩。ココロ、くださいー」
フランはココロ持ってるでしょう。
生きてるんだから。
「本当に鈍いですねー」
違うってんならなんなのよ。
「ぶっちゃけちゃうとー…。
先輩が好きです付き合ってくださいー…って事ですねー」
………………。
「どーですー?」
……、…等価交換。
「?」
私の心、あげるからフランの心は私にちょうだい。
「…まーいーですよー」
なんか偉そうムカつく。
「ところで先輩はミーが好きなんですかー?」
さぁねっ
「じゃあ勝手に解釈しますー。
ミーを一目見たときからずっきゅんと来て」
勝手なストーリーつくるな!
「じゃあ等価交換ですー」
は?
「ミーのカエルあげますからー、言ってくださいー」
いらないわ。
「じゃあ最弱先輩から愛しの先輩に格上げしてあげますー」
いや、結構。
(本当は割と昔に君にココロは奪われていたのだけどね!)
end
prev × next