A子さんの盤上遊戯 | ナノ
狂乱のように入れ替わり立ち代り蹂躙される竜胆柚妃の姿に私はクツクツと嗤った。
彼女が望むように愛されるように彼等を説得してあげたのだ。
まぁ、彼女の本命君だけは首を立てに振らなかったけれども。
もっともそれが彼女に絶望を与える事になったのかしら?
窓もない真っ暗な部屋に簡素なベット一つ。
性欲を満たすだけに訪れる君の王子様。
誰一人、愛を囁きやしないけど君は文字通り身体だけ愛されているでしょう?
「た、すけて…」
唯一食事が差し入れられる入り口から彼女は手を伸ばている。
誰もその手を取る事はないのに、ね?
このまま壊れてくれても良いけど、外見はあと数年すれば成長期を向かえ美人の部類に入る事だろう。
外交カードの一つとして彼女を飼うのも良いかもしれない。
もし身体が育たなくてもロリコン受けするのだ。
その手の趣味の輩を相手をして貰うのも良いだろう。
簡素な食事を載せたトレイを持って数ヶ月ぶりに彼女の下へ足を運んだ。
「だれか、だれか…」
一人は嫌だとブツブツと呟く彼女。
ずっと伸ばされた手を私は優しく握り締めた。
あぁ!
と歓喜を洩らす彼女に私は心の中で嗤う、哂う、笑う。
「竜胆柚妃」
彼女の名前を呟けば痛いぐらいに手を握り締められた。
ここで振り払ってしまったら意味が無い。
「もっと…名前呼んで、名前、名前、なまえ…」
私は壊れた彼女の要望に応えるべく優しく名前を繰り返した。
私は適当に食事を彼女に私その場を去る。
その日を境に私は彼女の下を訪れた。
それは一日に10分と満たない短い時間ではあるけれど、竜胆柚妃の中にある私は神のような存在になっていることだろう。
彼女が望んだ王子様達以外の男達に犯されても彼女は、私が来るというだけで不満も口にする事はなくなった。
逆に相手をすれば私が来ると憶え込まされた。
箱庭に閉じ込めて半年、私好みのお人形の完成に嗤う。
「栄子様、栄子様、大〜好き!」
作っていたキャラも崩壊しちゃったのか、彼女の口調は稚拙しい幼い口調になっている。
真っ白なワンピースの裾をヒラヒラとさせながら花咲き誇る庭を嬉しそうにクルクルと走り回る彼女は、まさに私のお人形。
今回みたいな南国旅行(バカンス)も悪くなかったわね。
だって、可愛い私のDOLLが手に入ったんですもの!