転職 プログラマー A子さんの盤上遊戯 | ナノ
うちを構っていた蔵達が山田栄子っちゅー女の所に行った。

あんなん仕事もせーへんミーハーやん!

って怒鳴りつけてやりたいわ!

ムカツク!

うちの領域に土足で入って許されると思わんときや!

「竜胆さん、怖い顔してどうしたの?」

ニコニコと爽やかに笑う不二にうちは

「何でもないんよ。ただ今日はごっつぅ暑いなぁって思て、不二君は暑くないん?」

天使の笑顔で誤魔化した。

「そうだね。今日は一段と暑いし気を付けてね。」

こうやって気遣ってくれるのは、うちがヒロインやからやね。

「不二君も気ぃ付けや?うち心配するで…」

気遣い上手とアピールすれば周助は綺麗な笑顔を見せてくれた。

青学も立海も氷帝も全〜部、うちのもんや。

大丈夫、まだ日にちは沢山あるんやし、うちの魅力を振り撒いてあげるわ。

「じゃあ、うちは仕事あるし行くわ。」

常識あるマネを演じて、うちはその場を去った。

うふ、だってその方がうちの気を引こうと悶々とするやろう?

早く追い掛けて来うへんかな?

そしたらちょっと困り顔で相手してあげんの。

…………

こんだけユックリと歩いてあげんねんで!?

何で追い掛けて来うへんの?

少しだけ後ろを振り返ると山田栄子と周助がキスしてた!!

何でなん?

そんなケバイミーハー女を選ぶん?

普通、うちを選ぶやろ?

うちはこの世界のヒロインなんやで!!

そう、きっと周助は逆ハー補正ってやつに引っ掛かってるんやな。

だからうちの虜にならへんのやね。

大丈夫、うちが魔女を追い払ってあげる。

助けてあげる。

そして沢山愛したるさかいな!

あぁ、山田栄子に関わる彼等もきっと補正に掛かってるんやな。

助けてあげな!

うちやなくてあんなミーハーを好きになるはずがないんやもん。


道化のピエロは妖艶な魔女に挑戦状を叩き付けた。

妖艶な魔女はウッソリと嘲笑(わら)う。

やっと退屈な時間から抜け出せる、と。