沈黙の太陽オマケ | ナノ
これで終止符が打たれた。
異界の者には感謝してもしきれない。
彼女を元の世界へ戻せない事に対し私は申し訳ない気持ちになった。
これが人の心というのだろうか?
聖なる焔を救いたいという気持ちだけで彼の人を喚(よ)んでしまった。
きっと向こうの世界にも彼女を想う者達がいるのだろうに…
私はきっと誰よりも罪深いのだろう。
ユリアの預言を多い覆そうと世界を滅ぼそうとした者の魂は輪廻を巡った。
次の世界では彼に優しくあれば良いと願う。
預言を妄信した者は、その肉体と一緒に魂が砕けてしまった。
ユリアを敬謙する余りに取った行動は、世間では醜く欲深いと解釈される事であろう。
しかし私は思う。
彼もまた被害者なのではないだろうか?
私は散ってしまった魂の欠片をそっと世界に戻した。
欲に囚われず自分の観た世界を生きて欲しいと願う。
扱いに困ったのは、聖なる焔の自称仲間達だった。
彼等の魂は余りにも穢れ過ぎていた。
本当に醜いのは人間とはこのような者達なのかもしれない…
異界の者の炎は彼等の魂を消し去らんばかりに煌々と燃えている。
その輝きは美しく、それでいて残酷でもあった。
私は二度と魂の再生が敵わぬように異界の者の輝く炎に力を注いだ。
願うは私の完全同位体である聖なる焔。
キラキラと輝いて消滅した魂達に私は嗤った。
世界は順調に歯車を廻して行く。
預言から外れた未来がこの先どう歩んで行くのか、私には分からないが幸多からん事を祈ろう。