沈黙の太陽オマケ | ナノ
-SIDE マリア-
キムラスカとマルクトは手を組みダアトを滅ぼした。
預言の傀儡になる謂われは無い。
繁栄ではなく星の滅びを導く教団に民達の怒りが湧いた。
得にキムラスカはユリアの子孫というだけで襲撃犯を無罪にしろと無茶な要求を突付けられ、戦闘強要に不敬の数々に怒り心頭だったのは言うまでも無い。
また、和平妨害やユリアの預言とは別に世界滅亡を企んでいた大罪人ヴァン・グランツを筆頭に六神将の非道な行為に対しそれを諌めなかった導師にも責任が問われた。
大罪人を輩出したユリアシティの者達も捕らえられ公開処刑となる。
そして本日、自称英雄達が公開処刑される日でもあった。
キムラスカからはインゴベルト陛下、グリムゾン公爵、ルークが出席し、マルクトからは何故か俺とピオニーとアスラン青年が出席した。
打ち鳴らされる処刑の合図に引き釣り出されたのは自称英雄達。
まだ反省していないのか、彼等は自分達が罪人扱いされるのが不当だと思っているようだ。
空は瘴気で紫色をしている。
うっへぇ…と心の中で溜息を吐いた。
彼等がギャースカと俺とルークに文句を言っているが、正直俺はローレライに頼まれた解放と瘴気中和で命一杯なんだよ!!
しかもこんな大勢の人の前で何て無理無理!
正直、自分で何を言ったのかサッパリ覚えてない。
「マリア…」
俺を呼ぶルークの声にビクリと反応した。
おおぅ、俺達の出番かよー
突き刺さる視線に俺は気絶したい。
ティア達?
うん、処刑を兼ねて瘴気中和とローレライ解放の為に命を捧げて貰う事になってんだよ。
実行するのは俺とルークだけどさ。
チキンハーツな俺の心はパンク寸前だぜ!
リングに死ぬ気炎を燈せば、ルークがローレライの鍵をコンタミネーションで出現させた。
本当にどんな構造になってんだろ??
超どーでも良い事を考えながら俺はローレライの鍵に死ぬ気炎を纏わす。
ルークが地面にローレライの鍵を突き刺し、ローレライが地上に出てきた。
ぶっちゃけ俺は緊張の余り奴が何をほざいているのか理解していなかったが、気付いたら奴は音素帯にバビューンと逃げたらしい。
ティア達の無残な死体を目にして俺は恐怖のあまりブラックアウトしたのは言うまでもない。
-SIDE 一般兵-
マリア様は異界の女王らしい。
他の女性(ひと)なら馬鹿馬鹿しいと一笑するが、マリア様なら納得した。
容姿は勿論の事、立ち振る舞いも話術も滲み出る気品さえも王者の風格。
慈悲深いマリア様が唯一怒りを見せたのが、自称英雄と嘯く大罪人達だった。
口々にマリア様とルーク様を口汚く罵る醜悪な姿に剣を抜きかけた事か…
「人の業が生み出した瘴気をローレライの眷属であるレプリカを利用して消すとは愚かの極みだろうに…」
冷然と告げるマリア様の瞳に映るのは静かな怒りだった。
「聖女ユリアがホドを復活させたのは、レプリカを作ったからです。ジェイド・バルファ、お前だけがフォミクリーを確立したと思っていたのですか?」
罪人はマリア様の言葉に強く反発するが
「何故、今生きる人に第七音素の素養を持つ者がいると思うのです。現在の技術よりも太古の技術が発達していたのは明白な事実でしょうに…」
理路整然と突き詰める。
レプリカの事は、キムラスカとマルクトの両国とマリア様の名で発表されていた。
神に等しいローレライの眷属であり、自分達の祖先でもあると諭され誤った認識をマリア様は正したのだ。
未だレプリカに対する認識は厳しいモノではあるが、確実に良い方向へと向っている。
「お前達がレプリカと蔑む者達に縋らなければ生きて行けぬと宣言した事を覚えておきなさい。」
マリア様はルーク様と共にローレライの解放を行った。
その光景は言葉で表せない程に神々しいものだった。
マリア様の作られたオレンジ色の美しい炎は、ルーク様の持つ剣を内包すると共に我々を守るようにモスグリーンの淡い光が螺旋を描くようにマリア様達との距離を遮断される。
瘴気で侵された空は青く澄み渡り、まだ時期ではないのに草花が祝福するかのように咲き誇った。
それでもマリア様は罪人であった彼等を哀れんで涙を流し気を失われる。
後に人々は語る。
『悪い子は地獄の門を抜け出して、お前達を取って喰うぞ。』
自称英雄と自負した彼等は後世に悪の代名詞として使われた。