転職 プログラマー 沈黙の太陽オマケ | ナノ

-SIDE マリア-



冗談じゃねー

というのが俺の心境だ。

何がどうなってこうなったのか理解不能な現在、俺は何故か傅かれている。

モンスターに遭遇して何とか?頑張って応戦したんだぜ。

ん…俺のなんちって匣兵器じゃなくてアスラン青年に助けられたっぽいけどねー

何処まで無能なんだ…俺。。

と心に大きな傷を負ったけどさ!

クソっこのイケメンめ!

嫉ましいなんて思ってないよ?

羨ましいとは思っているけどな。

世界が違うし、正直保護してくれたのは、とっても嬉しい。

だけどな、何で野郎に抱きつかれなきゃなんねーんだ?

腰に腕を回してへばりつく男ことマルクトの皇帝陛下。

俺が言っちゃあなんだけど…威厳もへったくれもねーな、おい。

てーか、この世界ってアビスの世界だったんだな。

人類滅亡カウントダウンじゃねーか!!

異世界旅行するなら平和な世界が良かったよ。

ただでさえ、リボーンの世界に転生してから生きた心地がしなかったんだもん。

可愛くて優しいリーシャがいなければ俺は死んでたね!

マフィアの抗争で!

あぁ、涙が出そうだよ。

鬱々と考え込みながらセクハラ皇帝から逃れようと必死で抵抗した。

「ピオニー陛下、御放し下さい。」

いやいやマジで離して欲しいんだよ。

ぶっちゃけ俺が上目遣いで哀願してもキモイって分かっているけどさ、奴の方が身長が高いんだよね。

俺のあまりのキモさにピオニーが顔を背けた事は言うまでも無い。

本当に失礼な奴だな!

てーか、離せよ、コンチクショー!!



-SIDE ピオニー-



俺は夢を視た。

オレンジ色の炎を纏い立つ女(ひと)がオールトランドを救う夢を…

神々しくも美しいその光景が夢から覚めても覚えている。

それから間も無くテオルの森付近に魔物が出ると報告がきた。

魔物は強く統率も取れているとのこと。

精鋭部隊とも言えるアスランの隊に殲滅を任せたが、意外にも魔物を殲滅したのは一人の女性だったと報告を受けた時は、驚いた。

マリアという女性は譜術ではなく、不思議な技を使うらしい。

アスランに連れて来られた彼女は、皇帝である俺に臆する事無く堂々としたいた。

「御初お目に掛かります。私はマリア・ルッツ・ヴィンセントと申します。この度は保護して頂き深く感謝致します。」

流れるような美しい異国の礼に見惚れる者は少なくは無かった。

「ようこそ、マルクトへ。俺の国を民を守ってくれて礼を言う。」

マリアと名乗る女性の真意を測るべく深く観察すれば、彼女は穏やかに微笑み

「…いえ、助けて頂いたのは私の方です。右も左も分からぬ私を保護して頂き有難う御座います。」

感謝の意を述べる。

「マリアは、キムラスカ人じゃないよな?」

夢に見た女性にそっくりなんだけどな…

でもキムラスカの上級貴族の作法とはまた違っているのも確かだった。

俺の疑問に彼女は困惑した表情で

「……戯言かと思われるかも知れませんが…私はこの世界の者ではありません。私が使った技は譜術という代物ではなく、匣で御座います。」

掌サイズの小さな箱を取り出し俺達に分かるように見せてくれる。

「私の中指に嵌っているリングに死ぬ気炎…生態エネルギーを凝縮させ、この匣に注入します。匣が開匣し、兵器が出てきます。兵器によっては特殊能力が備わっていますが、使い手によって能力は異なるのです。」

ほんの少しだけ陰りを見せ語るマリアは何を思っているのだろうか?

「俺はマリアが嘘を吐いているとは思ってないぜ。」

何せ夢にも出てきたんだもんなぁ…。

圧倒的な力を見せ付けられたアスランとかは納得してるけどな。

まぁ、一部の臣下は納得してないみたいだけど。

「還る手立てが無いなら見付かるまで此処にいれば良い。」

俺の言葉にマリアは、驚きと困惑の表情(かお)をしたが一瞬で花が綻ぶように微笑んだ。

それから数ヶ月、マリアは宮殿で過ごす事になったのだが、彼女の能力の高さに恐れ入った。

武術は将校クラス以上、政務者としても有能で、また譜業にも精通している。

人当たりも良く、瞬く間にマリアはマルクトに馴染んで行った。


そんな彼女は俺のお気に入りだ。