沈黙の太陽オマケ | ナノ
-SIDE マリア-
眼を開けたらジャングルでした。
現実逃避するなって?
仕方ねーじゃん。
俺だって混乱してんだよ!
しかも魔物??
どこのファンタジー!?
俺が弱いって理解してるんだろうけど、一斉に襲ってくる事ないんじゃね??
頑張って銃で魔物の眉間を狙い撃ちするが俺の腕前は一般人以下な為、全く中らない。
なーんてこったい!!
あっはっは!
って笑えない。
マジで笑えない!
銃弾だって限りがあるし金が掛かるんだぜ!?
弾切れ寸前の俺に残された選択肢といえば、なんちーて匣しかなかった。
こんな所に飛ばした元凶なんだけどなー
正直使いたくなかったが、俺は命が惜しい!!
リングに死ぬ気炎を燈し匣を全解放した。
どーか、どーか、マシなのが出ますようにって願いを込めてなー
いつもの如く恐ろしくて瞑った眼を開ければ魔物は消え去っていた。
おぉ!
今回は成功したのか?
それとも俺のあまりのヘタレっぷりに情けを掛けてくれたのか?
何か後者の方が強いなぁ…
俺は天性の勘で村を目指す事にした。
だって此処にいても餌になるだけじゃん?
そんな間抜けな俺を見ていた奴がいるなんて俺は知らなかった。
この行為が後に世界に変革を齎すらしい…
-SIDE アスラン-
テオルの森に強力なモンスターが出現するという報告が入った。
和平を望むとはいえ、キムラスカとは未だ緊張状態にあり軍を動かすのは厳しいという事で私の師団に討伐を任命された。
レベルも高く統率の取れた魔物に対し、恥ずかしながらも梃子摺ったのが正直な話。
「フリングス将軍、女性が魔物に襲われております!」
部下の報告に民間人が紛れ込んだ事に冷や汗が伝った。
「民間人の保護を優先する。第一部隊、第二部隊は私に着いて来い。他はグランコクマに進入を許すな。」
部下の誘導に私達は民間人である女性の元に走る。
しかし其処で見たのは、大群とも言える魔物を物ともせずに軽やかに撃退していく女性の姿だった。
彼女に焦りや恐怖の色は一切なかった。
私達が到着したのを確認した彼女は祈るように指輪にオレンジ色の焔を燈す。
そして目映いばかりの光がテオルの森一帯を覆った。
次に目にした光景は信じられないものだった。
魔物の姿はなく、花の季節でもないのに美しく咲き誇る花々。
まるで彼女を祝福しているかのようだった。
彼女は私に気付いたのか少し困ったような顔をしたが、直ぐに踵を返し足早にその場を去ろうとする。
私は本能で理解(わか)ってしまった。
この神業のような力を持っていれば追われる立場になると云う事を…
そして敢えて彼女は、その危険を犯してまで私達を助けてくれたのだ。
私は彼女の後を本能で追いかけた。
終焉に向う世界に使わされた救いの女神だと後に噂される事になる。