騎士団員おいしい。 | ナノ


▼ 5 巨体の騎士

リーディスの部屋は四階建ての宿舎、最上階にある一角だった。
副団長ほどではないが、単身の住居としてはかなり広い。
この男は隊長だと言っていたから、騎士団内でもそれ相応の立場なのだろう。

玄関を抜けた途端、俺はひょいっと騎士の肩に担がれた。
巨体の男は軽々と俺を運び、ベッドに投げ入れた。

「うおっ! なんだよ。あんた、乱暴なのが好み?」
「そんな事はねえよ。俺は最初から最後まで、すごく優しいぜ?」

ギシ、とシーツを沈み込ませ、囲むように覆いかぶさってくる。
この騎士は背が高すぎる上に筋肉隆々で分厚く、決して小さくはない俺の体もすっぽりと覆われてしまう。

短めの黒髪は薄っすらと焼けた肌によく似合っていて、雄々しい印象だ。
褐色の瞳はまさに今からヤルぞと言わんばかりに、戦闘モードでぎらぎらしている。

「脱げよ、ルニア」

低い声色で名前を呼ばれ、どきりとする。
俺様的不遜な態度……兄上の影響か、俺はこういうタイプに弱い。

鼻息を抑えながら服を一枚一枚脱ぐ。
いつもは魔法で即全裸になるが、雰囲気を大切にした。

「へえ……さっきもお前の裸見たが、この眺めは中々良いな。そこら辺の女より綺麗だ」

ゴツゴツした硬い指先でつう、と胸の突起を撫でられる。そのまま摘まれたり揉んだり色々された。

「んぅ……ッ」

素直に感じる声を出すと、騎士はにやりと笑った。
甘い刺激を受けながらも、目の前の男がまだ制服を着込んだままなのが気になる。

「リーディス、あんたも脱いでくれよ。すげえ体してそう」
「……ああ? お前ほんとに男好きなんだな。別にいいけど」

騎士は制服のボタンを外し、シャツを男らしく脱ぎ去り、俺の願いに答えてくれた。

た、逞しい……胸板だけでなく脇腹もけっこう肉厚だ。
けれどぎゅっと引き締まっていて、かぶりつきたくなる。
この体がのしかかってきたら、苦しくて身動きできないだろうーー想像しただけでイキそう。

ああ。俺のテンションMAXである!

「いい体だな。……うまそう」
「そりゃどうも。美味いかどうかは今から分かるぜ」

笑いながら言う男が制服の下も脱ぎ去り、全裸を晒す。
……おお。そうきたか。
血走った俺の目の前に、すでに反り返るほどの勃起を見せる逸物が現れた。
太さも長さも十分、血管の浮き出具合が禍々しさを物語っている。

「すげえ。デカイな……いいぞいいぞ」
「そうか? この体格なら普通じゃねえの」

残念だがそうとも言えない。
地上へ来てひと月が経過した今、俺が集めた人間の男データを思い返す。
結果から言えば、身長とブツの大きさは比例しない。というかむしろ高身長は平均かその下だった。

この騎士団の男たちは、総じて背が高い。
皆が皆、リーディスやベリアスのような巨根だったら望ましいのだがーー

「なあ。淫魔ってよ、襲うだけじゃなく襲われても欲情すんのか?」
「? 当たり前だろ。俺はどっちかと言うと、めちゃくちゃにされるのが好きだ」

何気なく告げたこの言葉、それが騎士の欲望に火をつけた。

「へえ……そうなんだ」

次の瞬間、体を反転させられ、あれよあれよいう間に組み敷かれる。
それからはもう、種付けする魔獣のごとく、ガンガン後背位で犯された。


「うぁぁッ、あ、あぁっ、そこ、いいッ!」
「ああそうか、じゃあもっと抉ってやるよ、ほら鳴け、淫魔」

最初の頃のほんわかした会話が嘘のように、この男、さっきから言葉責めしてくる。

「お前の声可愛いなぁ、ヤッてねえ時と大違いだな? 完全に雌じゃねえか」
「あぁっもっと、もっと言って……ッ」
「淫乱。俺のでけえの咥え込めるなんて、お前一体どんだけケツでやったんだ?」

回数は覚えていない。
ちなみに俺の尻は自由自在に収縮できるため、男のサイズは何でも来いである。

とはいえ、やはり大きいほうが気持ちいい。
中がミチミチと滾った熱い肉棒で埋められる快感は、腰だけでなく脳も揺さぶられる。

「なあ、相当咥え込んだんだろ」
「うぁぁっ、んぁっ、違う! 人間はお前で三人目だぁっ」

プレイの一環としての問いだとは思ったが、事実を告げた。
俺が受け入れたチンポたちは、八人の親族プラス魔族の親友、そして人間の騎士三人だけだ。

計十一人。少ないな。
もっと頑張らないと。
だがこのペースでいけばーー

「ほんとかよ。……そうか、わりと純情なんだな……お前」
「へ?」
「意外だぜ。じゃあ優しくしてやろうか?」

リーディスは俺を持ち上げ、ベッドの上で対面座位の形を取らせた。
ずぶっと容赦なく突き入れ、また揺さぶりを始める。

「あっあっんあっ、き、気持ちいいっ」
「肩掴んでろ。もっと良くしてやるよ」

男の気が変わったのか、その後、俺への罵りは急激に減った。
めくるめく快感の中、若干の失望を感じる。

酷くされたほうが、興奮するのに……
だがその思いは胸にしまっておいた。悪魔の俺は、その時初めて人間の思いを気遣うということを学んだ。

「うぁっあぁぁっんんんぅ、いくううぅ!!」
「いいぜ、いっちまえ!」

ベッドの上で、もはや俺はぽんぽん飛び跳ねていた。
リーディスに腰を掴まれていなければ、床に吹っ飛んでいたかもしれない。
それぐらいこの騎士の突き上げは、スポーツかといえるほど激しかった。

精気を食らうという淫魔の目的ーーつまりは食事だ。
スポーツと食事。たんなる性欲の垣根を越えて、俺たちの方向性は一致している。
素晴らしいじゃないか!

けれどこの騎士。
ものすごい持久力がある。といえば聞こえはいいのだが。

「あ、あッ、また、イクッ、あんたも、イッて!」
「先にいけよ、何回でもいかせてやるから……ッ」

この騎士、なかなか達しない。
俗にいう遅漏というやつなのか。

イキ地獄を味わうのは嬉しい。
だが、俺の目的は精気を摂取することだ。
ある意味おあずけを食らった状態でいるのは、生殺しに近かった。

「ああああぁぁぁぁッ!」

何度かイかされた後、俺は騎士の体の上に突っ伏した。
時間はかかったが、リーディスも数度俺の中で射精をし、久しぶりに満たされる心地となった。

前哨戦でもある従騎士への攻めという、自分としては珍しい試みも胸が踊ったが、やはり思いのままにマッチョに犯されるのは最高だ!

「リーディス、あんたの体……すげえ良かった。またヤッてくれる?」
「ああ、いいぜ。俺もお前が気に入った。団長のもんらしいが、俺は別に構わない」

汗だくになりながら、ピロートークをする。
騎士は細かいことは気にしない性格のようだった。
怖いものなしといったところか。俺がイメージする、正義や人情を重んじる人間らしくない。

「でもあんた、ベリアスの部下なんだろ。俺と寝たことがバレたらどうするんだ?」
「どうもしねえよ。職務以外で団長が何かに関心持ってるとこなんか、見たことねえ。お前を拾ったのも気まぐれじゃねえの?」

そうか。
だからあの男は俺を罰するでもなく、聖職者に突き出すでもなく、放置しているのか。
俺は餌を貰えれば文句はないが、ベリアスの考えていることが少し気になった。

「じゃあ他の騎士たちに手出しても、あいつは怒らないんだな」
「それは団長に聞いてみろ。だが俺の隊の奴らは襲うなよ。士気が下がったら困るからな。代わりに俺が相手してやる」

頼もしい台詞に、心の中で歓喜の声を張り上げた。
けど忠告を聞き入れられるかどうかは分からない。

俺たちは翌日もベッドで交接を繰り返した。
騎士が帰ってきたのは夜遅かったが、体力が有り余っていたのか、すぐさま俺にのしかかってきた。
俺はまた騎乗位でよがりまくることとなった。
精気もたんまり食らったし、満足満足。

その次の日は、ベリアスが騎士団に戻る日だ。
囚われていた尋問部屋へと帰らなければならない。

朝になると騎士の腕を抜け出し、俺はコウモリに変化した。
ぱたぱたと小さな黒翼を羽ばたかせ、部屋を抜け出す。

バイバイ、リーディス。またな。






くるくると中庭を飛んで行く。
外を警護をする白ローブの騎士たちは、おそらくミラトと同じ従騎士の位なのだろう。

夜通し精気を貰ったとはいえ、魔族の俺は、朝はあまり力が出ない。
さっさと帰って休もう。

緑を抜けたところで、黒いローブを羽織った騎士の集団が現れた。
五、六人の男たちが漆黒の馬に跨り、颯爽とこちらへ向かってくる。

その重々しい雰囲気に、俺は思わず逆方向に翼をはためかせた。
すると突然、小さなコウモリの体にぐわん!と衝撃を受け、『ぴギャっ!!』と変な鳴き声を上げて失墜した。

はたはたと螺旋を描き、地面にぽとりと落ちる。

(なんだ……? 体が動かない)

ガシャ、ガシャと聞き覚えのある鎧の音が響いてきた。
すぐ近くで停止し、次の瞬間俺の体が大きな手に掴まれ、上に持ち上げられた。

「ルニア。なぜお前が外にいるんだ?」

小さな目を開けると、金色に輝く瞳がこっちを見ていた。

そんな。
見つかってしまったみたいだーー俺を捕らえた騎士団長、ベリアスに。

「……どういうことだ。お前、俺の淫紋を破ったな?」

いつもは無表情のベリアスが、眉間に深い皺をよせ、眉を吊り上げる。
俺に対して、激怒していた。



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