騎士団員おいしい。 | ナノ


▼ 10 人気者?

連日行われる、砂漠戦での異教徒との攻防。
戦火が激しくなるにつれ、ベリアスは現地で指揮をとるため、兵舎にとどまることなく野営地に赴いていた。

コウモリ姿となった俺も常に黒ローブに潜み、一緒に連れ回されている。
団長の主な行動は、隊長らを交えたテント内での作戦会議、偵察隊を駆使し、敵方との情報戦における対処と指示等ーー        

はっきり言ってつまらない。
戦いの汗にまみれたムサ苦しいマッチョ達を、ポケットから盗み見るご褒美をもってしても、手を出せないのだから拷問に等しい。

「ルニア。今から俺は聖職者達に会いに行く。奴らは目ざといからな、お前を連れてはいけない。いいか、変なことするなよ。俺とした約束、忘れてないだろうな?」

砂漠の砂塵が吹きすさぶ中、長身でガタイの良い男がコウモリを手に乗せ、真剣に話しかけている。
周りの部下らしき騎士たちは、見てみぬフリをしていた。

ここ数日激しい束縛を受けていた俺は、この男が交接時以外でもしつこい事を身をもって知った。

ベリアスは、あれから俺とセックスをしてくれるようになった。
一度したら病みつきになる魅惑の肉体に、夜ごと溺れてゆく。
そして抱かれる度、スキンシップが多くなり、キスは一日一回のルールもなくなった。

明らかにそびえ立っていた壁が崩れ始めている。
なんて望ましいことだろう!
だがその喜びをもってしても、俺の食事タイム=「精気集め」の使命を覆すことは出来ないのである。

「ピッ、ピッ」

コウモリの俺は行儀よく黒翼を丸めて手に座り、「分かったから心配するな」という嘘の鳴き声をあげた。
しかし騎士は訝しげな目で、まるで信じていない。

「その姿じゃ、何言ってんのか分かんねえな。意思疎通が出来たら楽なんだが……」

真面目な顔でトチ狂ったことをぼやくのも、団長たる者、さすがに人間姿の俺を連れ回すわけにはいかないという、微かな常識が残っているからだろう。

「団長、武器の手入れが終わりました。そろそろ出発のお時間です」

馬の手綱をもった白ローブ姿の従騎士、ミラトが現れた。
俺を目にした途端、ゲッと嫌そうな表情になる。
可愛い顔して、失礼な奴だ。

だが俺のほうは奴との衝撃的な交接が頭を過ぎり、淫靡な気分となる。
人の姿ならば下半身がムクムクと反応していた事だろう。

「おう、ミラト。お前に頼みがある。俺がいない間、こいつを預かっててくれ」
「は?」

団長の従者であるミラトが、素で疑問系の声を発した。

「なんだその顔。なんか文句あんのか?」
「い、いえ。別に……なぜ俺がこんな奴をーー」
「あ? 何か言ったか」
「……なんでもないです。ベリアス様」

主人である騎士に凄まれ、従騎士は悔しさと興奮を滲ませながら、渋々と承諾した。
なるほど。
今回俺は、この若い雄のもとに厄介になるらしい。
ベリアスの巨根と別れるのは寂しいが、またとないチャンスとも言えよう。

「ピッピッ」

よろしくな、ミラト。

一回り小さな手に移され、俺は頭を下げて挨拶をした。
想像通り、憎しみのこもった愛らしい顔で見返される。
うん。また食べるの、楽しみだ!

わくわくしていると、背後から別の騎士が現れた。

「団長。そろそろ会合場所にお連れします。……あれ、ルニア? うわぁ、どうしたの、こんな砂漠のど真ん中で!」

騎士然とした凛々しい顔つきを和らげ、コウモリ姿の俺に我先にと飛びつく男は、一人しかいない。
偵察隊に所属する美形の騎士、アルシャだ。

この間の交接時は、恋人同士のようなセックスをしてきて、俺に混乱をもたらした騎士でもある。

「ああ、今日も可愛い……。この前は楽しかったね。やっぱり君の肌はすべすべして、気持ちいいな。俺、ずっと忘れられなくて」

大胆な言葉を漏らしながら、俺をうっとりと撫で回している。

「おい、アルシャ……お前、部隊の集合地点で待てと言っただろ。何故わざわざ俺のもとに来た?」
「なんでって、ルニアに会いに来たに決まってるでしょ。いいじゃないですか、団長は片時も離さないでいられるんだから」
「お前は何様だ? 俺の所有物に触れるとはいい度胸してるじゃねえか」
「はあ? 俺たちはもう友達なんですよ。そこ団長に口出されたくないなぁ、俺」

二人が言い争いを始めた。
俺は悪魔なのに、いつの間にこれほど人気者になったのだろうか。
よしよし。騎士団員コンプリートに、追い風が吹いてるぞ!

手の上で目を閉じ夢想していた俺をよそに、従騎士は苛立ちのあまりプルプルと震えていた。

「あの、アルシャさん。気持ち悪いんでこいつを撫で回すの止めてもらえますか?」
「えっなんだよミラト。そんな冷たいこと言って。分かったよ。じゃあルニア、俺にちょうだい」

優しくすくい上げようとしたアルシャの手から、ベリアスがぶんっと俺を掴み取り、乱暴に従騎士の手のひらに押し戻した。

「遊びの時間は終わりだ。お前ら、きちんと職務を全うしろ」

完全にブーメランな発言をした後、団長の権限のもとに、その場はお開きとなった。





従騎士の白ローブの中は、体の厚さの違いか、あまり圧迫感がなかった。
ずしっと威圧的に動くベリアスとは違い、ミラトは軽やかな身のこなしをする。

普段は団長の従者として、武器や装具の手入れ、馬の世話から身の回りの雑用までこなしているらしい。
戦闘では補助的な役割を担う従騎士だが、野営地でも上級騎士たちの命を受け、忙しそうに働いていた。

こいつのテントに帰ったら、どのように襲おうかーー
俺はゆらゆらとローブに揺られながら、小さな頭で思案していた。


「あーっ、疲れた……」

その夜。仕事を終えた従騎士は、寝床に帰るなりドサッと寝台に腰を下ろした。
中に入ったまんまの俺が、危うく踏み潰されそうになり「ピギャっ」と鳴いた。

「あ、お前のこと忘れてた。出てこいよ。……ていうかお前、思ったより大人しくしていたな」

ミラトは疲れていたのか、俺への当たりもきつくなく、むしろ柔らかい態度で話しかけてきた。

だが、すぐに怒らせることになるだろう。
俺はパタパタと翼を振り、外に出たと同時に人の姿へと変化した。

「よお。お疲れ、ミラト。一日中働いて体が凝ってるだろう。マッサージしてやろうか?」

腕を組み、にやっと言い放つと、従騎士は即座に上体を起こし後ずさった。
怯えた顔がまたそそる。

「おまっ、なんで……っ早く戻れよ!」
「やだね。この前俺と約束しただろ? またえっちな事しようって」

時間がもったいない為、俺は騎士に馬乗りになり、腰をがっちりと両膝で挟んだ。
同時にローブから黒の制服まで瞬時に剥ぎ取り、シャツのボタンにとりかかる。

「うん。いい体。よく鍛えてるよな、お前」

キレイに割れた腹筋に笑みがこぼれる。
なだらかな胸筋に手を這わせると、びくっと感度よく動いた。

「あ、ぁあっ、触んなッ」
「ダメだって。今から触り合いっこすんだから」

こいつはベリアスほど魔法耐性が強くない。
術式をさらっとかけ、両腕を頭の上で封じこめる。

満を持して全裸になった俺は、騎士のズボンを遠慮なくずり下ろした。
うっすらピンクの可愛いチンポが顔を覗かせる。

「あれえ、もうお前の勃ってるぞ。やっぱ変態だなぁ。今からする事想像しちゃった?」

言いながら早速自分のと擦り合わせる。
ぬちゅっぬちゅっと先走りから音があふれ出す。

「ぅ、あ、あぁッ、やめろってッ」
「なんで? 一緒にシゴくの良くない?」

二本の肉棒の裏スジがこすれて最高だ。
こいつも気持ちいいに違いない。
ミラトのきゅっと締まった脇腹が、ビクビクッと震えている。

「あ、ああっ、ルニア、駄目だ、で、出るッ」
「もう出んの? 俺まだ。もうちょっと我慢しろよ」

名前を呼んでくれたことが嬉しくなり、さらに腰を動かしてやる。
顔が真っ赤で口が半開き。
ほんとこいつ可愛い。

「あ、んぁあッ、いく!!」

勝手にイキやがった。
先に従騎士の白濁液で腹の上がびちゃびちゃになる。

「はぁ、はぁ、はぁ……」
「はえーよお前。こんなにいっぱい出して。えっちなオナニーしてないのかよ」

声をかけつつ液を自分のチンポに絡ませ、使わせてもらう。
前後に動かすと、竿全体が性感帯になり気持ちいい。

「うぁ、やめ、動くなぁっ、ぬるぬる、するッ」
「お前がぶちまけたんだろ? ほら、すげえやらしい音」

自分もイキそうだ。
前のめりになり、騎士の体にぴったりと全身を密着させた。
肩にしがみつき、腰をぐいぐい擦りつける。

「ミラト、俺もう出していい? お前の腹に出すよ」
「んぁっなに、やめっ、ルニアッ」
「無理だ、止めらんない、っああ、いくッ……!」

騎士の腹の上に無事精を吐き出した。
ああ、素晴らしい。
細マッチョに抱きついて射精する快感。新たな楽しみを見つけた。

「……くそ、もう、退けよバカッ」
「待って、もうちょっと休ませろよ」

ミラトは口では元気だが、疲労感でだるそうだった。
体を離し起き上がる。
混ざりあった精液を舐め取りたかったが、さすがに嫌われると思い、魔法で綺麗に拭い取ることにした。

「お前、馬鹿だろ……」
「馬鹿とはひでえな。ベリアスには阿呆って言われるが」

何気なく口にした言葉に、ミラトがぎろっと睨みつけてきた。
仰向けになる騎士の隣で、俺はその艶めかしい肉体を片肘をついて眺めていた。

「団長はやっぱり、お前のこと好きなのかな」
「は?」

予期せぬ疑問を投げかけられる。
またそういう話か。俺の苦手分野だ。

「今日だってあんなに、お前のこと大事そうにしてただろ」

騎士は恨めしそうな、というより切なげな表情をしていた。

確かにベリアスは、俺を違う男に触れさせたくないような言動を取っている。
しかし、何故なのかは俺にも分からない。

「ルニア。お前は一体、なんなんだ?」
「どういう意味だ。俺は悪魔だよ。今は淫魔ともいう」

素直に答えると、騎士ははあ、と溜息をついた。

「やっぱ、気持ちいいからかな……」
「え、なに。俺そんなに気持ちいい? じゃあ続きする?」
「……黙れよ、俺はもう寝るッ」

裸のまま布団に潜りこみ、背を向けられた。
なんだ。もうお終いか。

本当はもっと嫉妬に狂った従騎士にガンガン犯されたかったが。
すんなり諦めたのは、別にベリアスに言われたからじゃない。

こいつを寝かせた後、俺は出かける予定があったからだ。

野営地のテントーーそれは戦いの後で汗にまみれ泥のように眠る、マッチョな騎士たちのあられもない裸体(希望)を見るチャンスなのだ。

そうだ。
俺の本当の夜は、ここから始まる。
久しぶりに、ぶっかけ行脚に出てやる!!



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