▼ 3 騎士そのB
新しく俺の弟になった聖騎士キリアンは、伽の時間が終わった後もちょくちょくこの広間を訪れた。
一度心を許すと甘々な笑顔で懐いてくるタイプらしく、体を気遣いながらもイタズラしてやったら「兄ちゃん、スグル兄ちゃん」と言って嬉しそうに喘いでいた。
それから一週間が経ち、なんとその間俺は誰の相手もする事なく、寂しく一人寝をしていた。
豪勢な食事が運ばれ、風呂や着替えの世話をする美少年たちとの接触以外、楽しみがない。
俺が暮らす広間は、馬鹿でかい洋館の一室にある。
窓から見える懐かしい空に憧れ、ちょっと散歩しようと思ったが微量の電撃にはばまれた。
どこまでも飛翔できる翼があるため、俺は逃亡防止に建物ごと結界内に隔離されてるようだ。
この国の連中はどうしても俺の子種が欲しいらしい。
だったら早く聖騎士よこせやと言いたい。
そろそろ我慢も限界になり、長椅子にふんぞり返り貧乏ゆすりをしていると、ようやく訪問者が姿を見せた。
「神鳥王。聖騎士のヘクターと申します。よろしいでしょうか」
「良いに決まってるだろう。入れ」
颯爽と現れたのは、金髪長身の超絶イケメン。
胸板は厚く体格はかなりいい、肌は真っ白で男のくせにきめ細やかだ。
ああ、絶対こいつ裸も綺麗。
しかし……例のごとく表情は堅い。というか氷のように無表情で隙が見当たらない。
「聖騎士のセアムとキリアンが懐妊いたしました」
「え、うそ」
「嘘ではありません。後ほど王ご自身にご確認頂けます」
他の二人の妊娠報告にきたのか。しかも直接見に行っていいらしい!
「ああああ、マジかよ、やったあッ!」
キャラを忘れ飛び上がって喜ぶ俺を戸惑い、いや訝しげな様子でうかがう騎士。
慌てて不自然な咳払いをし、服を正してキメ顔を作る。
「そうか、それはめでたい。今日は赤飯だな。で、いつ二人に会いに行っていいんだ?」
「……私との、性交が終わった後に」
一瞬だけ薄っすら頬を紅く染め、言いづらそうに目を伏せた。
ほほう、なるほど。寂しい日々が一転して、今日は幸福が舞い込んでくる日らしい。
分かった、とニヤリと告げ、騎士の羞恥の表情を楽しんでいると、青紫色の瞳が疑いの視線を向けてきた。
「王よ。騎士達の懐妊は貴方にとって、それほど喜ばしいことなのですか」
「ああ、当然だろう。父親になるんだから」
迷いなく断言すると、ヘクターは言葉を詰まらせ口をつぐんだ。
「どうした? 不服そうだな。まぁお前たち聖騎士が皆乗り気でないことなんて、知ってるが」
とはいえ今までのパターンから考えると、最後にはよがりまくって俺を受け入れるはずーー。
騎士二人の妊娠を聞いて、雄としての更なる生殖能力の高まりを感じ、自信が芽生えてくるようだ。
つうか単に欲求不満ってのもあるが。
「私には、意見を述べる資格はありません。命令ですから」
「ほう? 命令なら孕まされてもいいのか」
あけすけに尋ねると、端正な顔立ちが強張った。
すかさず俺は奴の顎に指を添えて、一瞬怯んだ視線を奪う。
「ふふ……この聖騎士は何でもする覚悟があるらしい。では命令だ。この口で俺をイカせてみろ」
父親になったばかりの俺、なんて非情なんだろう。
しかし目に見えぬ鎧で己をガチガチに縛る騎士を、どうにかして乱れさせたい。
これはほんの手始めだ。
長椅子に腰掛け、床に跪いた騎士を足の間に招く。
勃起した逸物をこれみよがしに見せつけると、騎士は美しい顔を青くした。
「ヘクター。口淫したことはあるか?」
「……いえ、ありません」
だろうな。余計に興奮してきた。
まさしく清廉潔白な聖騎士のお口を今から汚しまくるのだ。
「ん、ん゛……っ、……ぅむ…ッ」
たどたどしい舌使いで、必死に傷つけないように頑張ってる。
顎がしっかりした逞しい男の口内でフェラされると、それだけで気持ちいい。
舌も大きくてもうしっとりベロベロ。
悩ましげに眉を寄せられ、こいつのこんな顔見れるの俺だけだろ、そう誇らしく思い気分が高揚する。
あーだめだ。ムラムラが止まんねえ。
この綺麗な顔にかけたくなってきた。
でも飲んでもほしいし……
究極に悩んだ末に、あっさりとぶっかけることにした。
言葉もなく口から引き抜き、射精して飛び散らせる。
「う、ぁッ」
気を抜いた可愛い声が聞こえた。
顔が白濁に濡れてしまった騎士は、目を丸くして固まっている。
頬に垂れた精液を指ですくい、さっきまで俺の肉棒を咥えていた男の口の中にそろりと入れた。
「ごめん、びっくりしちゃったか? けどまだ終わってないぞ。ちゅうちゅう吸ってみて、ほら」
騎士は遠慮がちに小さな口を作ってすぼませ、指を咥えたまま前後にゆっくり動かしてきた。
ああぁ、最高! もうチンポが復活してきた。
跪いた騎士が下半身をもぞつかせる。
不審な動きを瞬時に見抜いた俺は、足で股間の膨らみをつついてやった。
「んぅっむ!」
「あー、感じちゃった? でももうガチガチじゃねえか。聖騎士って男の舐めて勃起する変態なの?」
「う、あ、ぁ、ちが、あぁッ」
ぐりぐり足の裏で責め立てると、騎士はすでに腰が砕けていた。
苦しそうに喘ぐのでズボンからモノを取り出せと命令してやる。
一瞬思案したあと、素直に言うことをきく騎士かわいい。
大きくそそり立つそれは結構な巨根だ。すげえ。
「はい。今度は自分の手でシゴいてみて。そのえっちな顔のままでね」
騎士はふらふらと床に正座の形で座り、俺の目の前で自慰を始めた。
命令とはいえ、こいつもう後に引けなくなってんじゃないか。
「っく、あ……、あぁッ」
耳障りのよい男らしい喘ぎが俺の股間を刺激する。
上気した顔に濡れた瞳がかなり色っぽく、もっと多くの快感を与えてやりたくなった。
「お前可愛いなぁ。イキそう?」
「……いえ、まだ…っ」
「そうか。せっかくだから一緒にイクか」
「……?」
俺は騎士をひょいっと抱き上げた。人外の力だからなんて事はない。
チンポを出したままの恥ずかしい格好でお姫様抱っこされた騎士に、驚愕の眼差しを当てられる。
「なっなにを! 降ろしてください、私は自分でーー!」
「ベッドで愛し合うぞ。ああ、お前は後ろ初めてだよな、聞かなくても分かる」
目を逸して耐える騎士をベッドに押し付け、制服のシャツだけ着せたまま速攻で足を開脚させる。
股の間に座って陣取り、腰をぐっと自分のほうに引き寄せる。
チラ見えする鍛え抜かれた腹筋の上で、でかいチンポがぬらぬら勃って俺を誘う。
でもまず思いっきり貫いて喘がせたい。
「このポーション塗り込めば回復しながら犯せるんだよ。なあ、いい? 挿れていいですよって言ってくれる?」
「わ、私の許可がいるとは思えません」
「いいや。俺は欲しい。早くしろ、俺のもうパンパンだぞ」
「しかし王にそんなことは……ッ」
この騎士は結構強情だ。強固な精神も困りものだな。
「……くッ……い、挿れて、ください、お願いします」
声を絞り出し、赤ら顔でまさかの懇願をされた。
さすが命令服従の騎士、あくまで上下関係を崩さない気だ。勿論そっちも良い。
締まりのよさそうな綺麗なお尻に突き入れる。
「あああぁぁッッ」
ずっぽずっぽと出し入れしながら、騎士の勃起ちんぽも命令して手でシゴかせる。
なんて素晴らしい眺めだ。
苦しそうに息を荒げ、我慢できないのか俺の腕をがしっと掴んでくる騎士。
「ああッ、いけません、王よ、あぁ! へ、変だ、なぜ」
「んん? もしかして気持ちよくなってきたか? 俺の相当デカイんだけど、お前初めてで凄い素質あるなぁ。もう俺専用の穴になっちゃったみたい」
わざと羞恥を誘う言葉を放つと、紅潮した騎士の表情がしだいに崩れ、トロついてきた。
「ほら分かる? 抜くときお前の中がきゅうぅって吸いついてくんの」
「ち、ちがっ、私はそんな事、していません」
「してるって。俺の大事そうに包み込んでるじゃん。よし、たくさん動いて俺の形にしてやるからな。一緒に頑張ろう、ヘクター」
さて共同作業の始まりだ。
俺は騎士に覆いかぶさり、逃げないように腰をがっしり固めた。
満を持して種付けプレスを開始する。
「さあ最後の命令だぞ、ヘクター。今からたっぷり中に出してやる。俺の子を孕めっっ!」
「……く、ぁあッ、……は、はい、王の子を、孕みまーーあぁぁぁあんッッ!!」
返事を聞く前にガンガン突きまくってやった。
やらしく喘ぐ騎士の心の鎧は完全に剥がれ落ち、俺の下で身も心も絶対服従するに至った。
「あー、お前気持ちよすぎてすっげえ濃いの出た。……あ、前もイッちゃったなぁ。お腹べっとべとだ」
「……あぁぁ……はぁ……ん、ぁ……」
うっとり放心顔で見つめてくる美麗の騎士に、のっそりと覆いかぶさり、初めての口づけを与えてやる。
「んむっ、ふ……ぅ」
「ふふ。これでお前は完全に俺のものになったな。お腹も大事にしろよ?」
舌をくちゅくちゅ入れながら現実を教えてやる。
ヘクターは俺のしつこいキスを息も絶え絶えに受け入れた後、もどかしげな瞳で見つめてきた。
「どうした? まだ不満があるのか。命令には従うんだろう」
「……いえ、命令ではなく、私もあの……。一度では、不安なので……貴方の精子を中に……もっと、頂けませんか」
顔を真っ赤に染めながら、たどたどしくお願いされる。
えっ。
おいおいおい。こいつは騎士の鏡か?
それとも俺の与える快楽の虜になってしまったのか。
なんにせよ従順なエロ騎士に懇願されて黙ってるのは男じゃない。
「当たり前だろう、子作りが一回で終わるわけあるか。よしいいぞ、何度でも注ぎこんでやるっ」
「あ、くっ、王よ、ちょ、今すぐは、ぅあ、お待ちくださ……ッ!」
三人目も制覇出来そうだと喜びを噛み締めつつ、俺の腰に絡みついてくる騎士の気が済むまで、たっぷりと可愛がってやることにした。
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