店長に抱かれたい | ナノ


▼ 35 最終話 店長に満たされる

昨夜起こったことを、俺は生涯忘れない。
なんと、店長にプロポーズされたのだ。いまだに夢みたいで信じられないが、彼には何度も確かめたから本当だと思う。

ちなみにデートから帰ってきた後、ベッドで抱かれているときもレオシュさんは俺にせがまれて「はい。結婚しましょうね、ロキ」と微笑みながら熱く腰を入れてくれたので益々信憑性が増す。

自分でも不思議だ。彼に出会うまで、俺はそういう人間ではなかった。
はぁ? 結婚? 興味ねえし俺はゲイだし、んなのやりたい奴が勝手にやれやと考えていた。

でも今はどうだろう。こんなにも二人の絆を強くする、有り難く素晴らしい制度が存在してくれることに、もはや感謝と幸福感しかない。

ありがとう神様! そしてレオシュさん!
こんな俺を受け入れてくれて、愛してくれて……!

「……ロキ、……ロキ!」
「はい、ありがとうございます!」
「え? あの、目玉焼きがこげてますっ」

珍しく声を張る焦り顔のレオシュさんが、急いで火をとめて俺からそっとヘラを受け取った。
焦げ付いた卵を慎重にはがし、皿へと盛りつける。

「どうしました、ロキ。大丈夫ですか? あ、これは私が食べますね」

優しく話しかけて、手慣れた手つきでもう一皿を作ってくれる。

「す、すみません店長! ちょっと考え事しちゃって」
「ん? どんなことですか」

台所で隣に立つ彼の優しげな瞳に見られていると、熱くなった顔が見事に緩んでいく。
俺の怪しい態度に気づいたのか、彼は合点がいったようにふと笑い、向き合って両腕を俺の腰にまわしてくれた。

「ロキ。さすがにもう信じてくれましたか? 昨日君に伝えたこと」
「……はいっ。俺、あなたの婚約者になっちゃってるんですよね」

胸板を寄せて尋ねると、彼は「ええ。そうですよ。お互いにね」と笑む。
その度に俺は安堵とニヤケ顔がとまらない。
見つめ合い、彼の眼鏡が近づいてきてちゅっと唇を奪われた。

「はあぁ……朝からレオシュさん甘い……俺いつまでもぼうっとしちゃいそうです」
「本当ですか? それはとっても可愛いのですが、少し心配ですね」
「へへっ。マジで結婚する瞬間までやばいですよ。正気がもつかなー」

頭をかいて述べる間、ふいに疑問が浮かんだ。
あれ? つうかその時っていつなんだ?

「あーーロキ、その話なのですが」

店長に突然話しかけられた俺は顔をあげるものの、何やら近くにある焦げくさい匂いに気づく。

「あ! 店長、焦げてる! 焦げてる!」
「ええ! ああっ」

こうして俺達は朝からおっちょこちょいな出来事に見舞われてしまった。



二人でなんとか朝食を準備し、居間のテーブルに向かい合う。
俺はなんとなくさっき彼が言いかけたことが気になっていた。

すると彼もややそわそわした様子で、口を開いた。

「ロキ。さっきの話なんですが……結婚をいつにしようか、という事についてです。君の考えは、いかがでしょうか?」
「えっ! あの……俺としては、もう今すぐにでもという気持ちですけども……レオシュさんはどうですか?」
「はい……私も気持ちとしては、同じです。もちろん、君のご両親に許しを得てから、ということになりますが。……ですが、」

誠実な彼は言葉を選びながら話してくれて、緊張が走る。

「私の考えなのですが、やはり君が大学を卒業してから、が良いと思うんです」
「……え、ええ! あと一年もありますよ店長! 一年もあおずけですかぁ!」

俺はもう25でいい大人なのに駄々をこねるように彼にすがる。
レオシュさんはふふ、と柔らかい笑みをこぼし、突然席を立った。
俺の隣の椅子に腰を下ろしてくれ、向き直ってくれる。

「ロキ。私も君にまず学業に専念してほしいですから。君がいつも頑張りやさんなのは知っていますが……あと一年だけです。頑張れますね?」
「……うっ。……はい、頑張りますレオシュさん……っ」

彼の優しい声に励まされて頭をよしよしされたら、言うことを聞くしかなくなる。
まあ、俺もそうなるかもしれないとは、どこかで思っていたが。

でも、具体的に時期が決まったのはやっぱり嬉しい。
今まで以上に大学も私生活も頑張ろうという気になった。

「あ、そういえばうちの親のことなら全然大丈夫っすからね。俺ことあるごとに店長と添い遂げることを匂わせてますし、はは」
「え!? そうなんですか? しかし、結婚となると話が別では……」

真面目な店長が黒渕眼鏡を直し、緊張感のある顔つきをする。
だが俺は彼を安心させようとした。
現にうちの母親はやけに乗り気だし、実家の農家から店長の店に大量の果実酒を送りつけてくるほどだ。

父親も初対面のときは色々あったが、今ではことあるごとに「レオシュさんどうしてる? また皆で酒飲むか」と気にかけてくれている。

そう伝えると、彼の気がかりも少しは和らいだようだった。

「とにかくうちの家族とは、また暇なときにでも会って頂けると嬉しいです」
「もちろんです、きちんとご挨拶に行かせて頂きますね」
「はいっ、ありがとうございます! ……あっ! ていうかやばいのレオシュさんのお父さんじゃないですか? 平気ですかね俺、またディスられるんじゃ」

冗談めかして汗をかくが、お父様とはあれから何度か彼とお邪魔させてもらったり、交流は続いている。
しかしさすがに結婚はどうだろうと焦った。義理の息子として可愛がってもらえるだろうか。

でもレオシュさんの笑みは変わらない。

「うちの父ですか。それは大丈夫です、心配しないでくださいね、ロキ。連絡をすると、やたらと君の話をしてくるんですよ。なので干渉はしてくるかもしれませんが、私がちゃんと守りますから」

頼もしい彼の台詞に俺は感謝し、ほっとひと安心する。
メインは俺達二人ではあるものの、互いの家族に認められたら嬉しいという思いは、店長と付き合い始めてから俺に訪れた変化だったのだ。



その後、俺は店に出勤するレオシュさんを玄関で見送った。
だが私服で店の鍵を手にした彼を見て、重大なことに気づく。

「……んっ? あっ店長、指輪つけたままっすよ!」
「え? あ、はい。……なんだか、外したくなくて。せっかく君にいただいたものですから。……でもやはり、だめでしょうか…?」

遠慮がちな店長に俺は全身をふるふるさせる。
だめなわけがない。嬉しくて倒れそうだ。しかし俺は身を切る思いで彼に迫った。

「でもレオシュさん、絶対常連のお客さん達に突っ込まれますよ、あなたは眼鏡外しただけでざわつかれるほどの非常に人気なお方ですし、もし恋人がいるって分かったら……!」

言ってて少し寂しくなってくる。
胸を張って彼の相手ですと言いたい気持ちはもちろんあるが、お店のことを考えると大きな躊躇いが生じた。

「ロキ……」
「口出してすみません、店長っ。でもあなたには女性のファンもたくさんいて俺もそばでいつも働いているから感じるんです、なんというか、バレないほうがいいんじゃって…っ」

焦りまくって口にすると、店長も顎に手をやって考えた様子だった。

「いえ、君の気持ちを教えてくれてありがとう、ロキ。……そうですね、私は一介の店長なので、危惧することはないと思うのですが……確かに一部のお客様には、よく個人的な質問を受けることがあります。それに対し、今の私はかなり浮き足だっているので、余計なことも言ってしまうかもしれません。……ふむ。とても残念ではありますが、やはり指輪は店の外にいるときにしましょうか」

真面目なレオシュさんはかなりじっくり考えてくれて、結論を出したようだった。
寂しい反面胸を撫で下ろした俺のことを、彼はそっと腕の中にいれてハグをしてきた。

もう行ってしまうのかと思い、俺も彼の背に腕をまわす。 
見つめてくる黒い瞳はどこか切なげでドキリとした。

「でも、ロキ。結婚指輪はつけたいです。……それはいいですよね?」

突如浴びせられる甘い声。
俺は「ええぇっ!?」と間抜けな反応しか出来なかったが、微笑む店長に何度か行ってきますの強制的なキスを受け、気づくと腰が抜けそうになっていた。





こうして日々濃密な幸せを感じながら、俺は彼と過ごしていた。
大学では親友のクレイに今まで以上にのろけ、うざがられてしまったが、奴も「まあよかったな。はしゃぎすぎんなよ」と祝いの言葉をくれた。

何かと世話になったし、これからもなるだろうから、約束通り披露宴では特等席を用意してやろうと思う。

そんなある日、夕方の講義が終わったあと、俺はクレイと別れ喫茶店に向かった。
今日はバータイムが休みで、店長も今ごろ閉店作業をしていることだろう。

二人で食べる惣菜弁当も買い込み、意気揚々と店の裏口から入っていく。
控え室の前を通ると、まだ残っていたバイトの先輩が「おおっ」と声をあげた。

「あれえ? ロキ、今日シフトないだろ? ……なにそれ、いい匂いすんな。おっ、弁当じゃんうまそー!」
「はい。差し入れです、よかったら先輩も食いますか。俺と同じもんですけど」
「サンキュー! あっ、店長、ロキが食い物もってきてくれましたよ」

ちょうど厨房から制服姿の店長が出てきて、どきっと目が奪われた。
俺が挨拶すると優しい顔つきで彼も応えてくれる。

「お疲れ様です、店長。はい、これ店長の好きな特選豚カツです! サラダにはあなたのお好きなハーブドレッシングもおつけしました!」
「おや、ありがとうございます、ロキ。ではあとで一緒にーーいえ、」

つい口が滑ってしまい咳払いをするレオシュさんが可愛い。
和んでいると笑いながら先輩に突っ込まれる。

「はは。お前ほんと尋常じゃなく店長になついてるよな。俺との待遇の差はなんだよ。店長が彼女作ったらどうすんだ? なんか対抗心もやしそー」
「……えっ。そうっすねえ。そりゃそんなの湧いてきたら燃えますけど。まあ大丈夫ですよね? 店長」
「んっ? もちろんですよ。彼女は要りませんから…心配は無用です」

眼鏡を直し苦笑する彼に俺は単純にもぱあっと明るくなる。
先輩は「えっ堅すぎでしょ、もっと遊んだほうがいいっすよ店長〜」とか余計なことを言っていた。

いつものやり取りをした後、先輩を送り出してから彼に一緒に片付けを申し出た。

しかし優しいレオシュさんは「君は休んでいてください」と言い、俺はカウンター前でグラスを整理する彼を見ながら大人しくしていた。

「はい、ロキ。暑い中今日もご苦労様でした。君の好きなレモネードです」
「うおぉっ、いいんすか店長。ありがとうございます」

遠慮なく頂き渇いた喉を潤す。
にこやかに会話をしていると、あることを思い出した。 

「なんか、懐かしいですね。覚えてますか、レオシュさん。俺が初めて店に来たときも、これ頼んだんです」
「ええ。よく覚えていますよ。カウンターで、初めて二人でお話をしましたね」

一緒にその時のことを懐かしむ。
あれは今から二年近く前のことだ。俺は大学に入ってしばらく経っていたが、住んでいたアパートがあまりいい環境ではなく引っ越そうと思っていた。

でもバイトも中々よいのが見つからず、この街で右往左往していたのだ。



「すみません、レモネードひとつ」
「はい。かしこまりました」

偶然見つけた、大きくはないがアンティーク調の洒落た喫茶店に入り、カウンター前に腰を下ろして注文をした。

金もないのにこんなとこでジュース飲んでる場合じゃないと思いつつ、下を向いてちびちびと飲んでいると、俺は驚愕した。

「うっ、うんまーっ!! 誰だこれ作ったの!」
「私ですが。店長のヴァルナーと申します」

二十代そこそこの若造にも、丁寧に挨拶してきた紳士に俺は釘付けになった。セットされた黒髪に知的な黒渕眼鏡、がっしりした肩幅と分厚い胸板。

そしてネクタイをしめた襟元はきゅっとしまり、太く男らしい首筋は日に焼けた肌をしていて凄くセクシーだった。

「……あっ。あの……マジで美味いです。おふくろが作ったやつより更にうまいですっ」
「ほう。それは非常に光栄な褒め言葉ですね。ありがとうございます、お客様」

俺はその微笑みにやられた。お客様、じゃなくて名前を呼ばれたくなった。彼に一人の人間として認識されたい、とまで考えた。

店長は当然スモールトークもうまく、俺は初めて来たのにぺちゃくちゃと身の上話までしてしまった。
カウンターには他の常連客もおり、実にスマートに楽しそうなやり取りをしている。

「ーーそうですか。ではあなたは、この近くの大学に通ってらっしゃるのですね。勉学や学校生活など毎日お忙しいでしょう。うちのカフェで少しでも英気を養うお手伝いができれば、幸いです」
「……あ、ありがとうございます、店長さん。じゃああの、レモネードもう一杯!」
「おや? もう三杯目ですが大丈夫ですか?」
「はい! 何杯でもイケます!」
「ふふ、それは嬉しいですね。では今度はもう少し多めに作りますね」

こっそりサービスしてくれる彼に甘えて、迷惑な俺は長々とそこに居座った。
話せば話すほど、会ったことのないタイプの大人の男性に魅了されていく。

なにか、何かきっかけが作れないものか。
興奮していた俺は、あることを思い出した。店の前にあった貼り紙だ。

確かそこには「アルバイト募集中」と大きく書かれていた。

俺はすぐに立ち上がり、店のガラス扉の前に駆け出た。
彼は気づいたはずだが、俺がじっとり紙をチェックしている間も、無銭飲食と疑わず戻るまで待っててくれた。

「あのすみません、スタッフの募集ってまだしていますか? よかったら俺、面接して頂けないでしょうか。バーテンの経験もありますし、接客含め体力にも自信あります!」

必死に売り込むと、彼は快く、そして真剣に話を聞いてくれた。
恥ずかしいが今住んでるところの事情も話す。
するとなんと、後日履歴書を提出すると約束した上で、ほぼその場で俺を雇ってくれると決めてくれたのだ。

レオシュさんは当時から、真摯で心の広い、聖人のような人だった。
俺を勉強に励む苦学生だととらえ、なんとアパートの一室まで貸してくれると申し出てくれた。

「ええっ、さすがに悪いんじゃ……、本当にいいんですか? そこまでお世話になって」
「大丈夫ですよ。アパートの一階部分は私の住居になっていますが、玄関ロビーはきちんとありますし、二階はいくつか空き部屋になってるんです。君のお好きな部屋を使ってください」

なんて優しい人なのだと俺は感動した。
それに……離れているとはいえ、同じ家に住めるとは。
自分の性質のせいか、素敵な彼に対して邪な想像さえ広がっていく。

「ありがとうございます、店長さん! 一生懸命働きます、よろしくお願いします!」
「はい。こちらこそ。君と働くのが楽しみです。よろしくお願いしますね」

がっちりと握手を交わしたのも、それが初めてのことだった。
こうして俺は、その日からめくるめく店長ワールドに誘われていったーー。




「いやあ、すごい懐かしいです。考えたら俺、最初からあなたに夢中状態でしたね。よく雇ってくれたなぁ、店長」
「そうだったのですか? 今思えば、少し照れますね。私は最初から、君はすごく感じの良い、真っ直ぐな好青年だなと思ってましたよ」

にこりと笑まれれば俺も照れ笑いをするしかない。
回想といってもほんの数年前のことだが、今やあの店長とここまで親密になっているとは。
もうありえないほど幸運な人生だ。

「でもレオシュさん、よく俺のこと受け入れてくれましたよね。なんか、今も別に変わってませんけど、俺があなたに迫ったときのこと思い出すと恥ずかしいやら申し訳ないやらです」

懺悔をするように頭を下げると、彼はなんてことない、という穏やかな雰囲気で首を振っていた。

「いえいえ。君はよくそう言いますけど、私にとっても、君はとても魅力的だったんです。そうでなければ、自分からキスを迫るなんてこと……」

彼は言いながら恥ずかしくなったのか、口ごもり顔を赤らめていた。
ああ、あのとき彼と触れ合ったことは、本当に奇跡で、最高にドキドキした体験だった。

うっとり追想していると、彼がカウンターごしに俺を見つめてくる。

「あの時は溜まりにたまったものがあったというか、衝動的に君に手を伸ばしてしまった面もあるんですが……その前から、その……私は君の思いを聞いていたでしょう?」
「あっ、はい……あぁぁすみませんあの節は」
「ふふ。そんな風に恥ずかしがって。これはちょっと君に意地悪な話題になってしまいますかね」

少しからかわれるように言われるが、いやご褒美でしかありませんと俺は内心生唾を呑み込んでいた。

「でも本当に、私にとっては、君に何度も名前を呼ばれるうちに、すごく好きだと言ってもらえているような気がして……それで段々と、胸が熱くなってきたんですよね。なんだか嬉しいというか……君が、それまでよりもさらに可愛いらしいなって……そう思うようになりまして」

初めて明かされる赤裸々な彼の気持ちにより、俺は縮こまり赤くなる。
なんか異様に暑くなってきた。
いつもなら彼に愛を叫び抱きついているはずなのだが、ここが店だからだろうか。

それとも、あの時と同じシチュエーションで俺はまた緊張してるのか。

「店長」
「はい。ロキ」

目の前には、当時よりさらに輝きを増した完全無欠な男性、レオシュさんがいる。
俺が立ち上がると、彼は一瞬目を見張った。
カウンターに両手をついて身を乗り出し、彼に顔を近づける。

「ロキ? ……したいのですか?」
「はい。お願いします」

率直に言う俺に表情を崩す店長。隙を見計らい、彼が間近にくるよりも先に俺はちゅっと唇を奪った。

「んっ。……びっくりしました。でも嬉しいです。君にしてもらえて」
「……はいっ。あの時の夢が叶いました!」

背筋を伸ばして白状すると、店長は今度こそ大きく驚いた。

「……本当に? 君はあの時、こんなことを考えていたのですか」
「そうです。呆れましたか…?」
「いいえ」

彼は優しく言って、なんと俺を「こっちに来てください」と手招く。
何をされるのかと心臓が飛び出そうになりながら、俺はぐるりとカウンターを回り彼の目の前に立った。

「あ……っ、レオシュさんっ、だめですこんなところで……っ。店の中なんて初めてですよぉっ」
「ふふ。シャッターはもう閉めましたからご心配には及びません。……確かに初めてですね、ここでキスするのは。……ううむ。君の唇は、ここにあるどんな飲み物よりも甘いですね……」

短く考えるように唸った彼の柔らかな口に捕らえられ、俺は存分に味わわれた。

あ、なんだ。でもキスだけか。
そりゃそうだよな。何もかもが妄想のようには、まだいかないらしい。

けれど俺の願望は、今まですべて彼によって叶えられてきた。
きっと飽き足らず願い続けても、店長はまた大きなハートで、俺をすぐさま満たしてくれるんだ。




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