お兄ちゃんシリーズ | ナノ


▼ お祝いごと

冬がだんだん近づく季節に、待ちに待った誕生日がやって来た。
この日11才になった僕は、学校のお友達を呼んでバースデーパーティーの真っ最中だった。

「ルカ、おめでとう〜!」
「ありがとう!」

飾りつけをしたリビングに皆が集まり、母が作ってくれた苺ケーキのろうそくを、ふうーっと吹き消す。
誕生日の歌を歌ってくれた皆から、拍手のあとにプレゼントまでもらった。

仲のよいジェイクくんからはゲームの攻略本、カールくんは冬用の耳当て、他の子達にもお菓子やコミックなど、たくさん楽しいものを受け取り、お礼を言った僕はとっても幸せな気分になる。

「ねえねえ、ルカ。お母さんからは何もらったの?」
「新しい自転車だよ、見てみる?」
「うん! 見よう見ようー」

そう言ってすぐそばの庭に出て行った子たちは、自転車を発見してわーわー言っていた。
僕はふと近くに佇んでいる兄に気づいた。よく見ると後ろ手に何かを持っているみたい。

「お兄ちゃん、それもしかして僕のプレゼント?」
「うん。そうだよ。はい。まずはこれ」

エディスから、と付け加えられて渡されたのは、ピンクの包装紙に包まれた手袋だった。
僕の手にぴったりモコモコで、エディスさんは僕のゲームフレンドだけど、まさか兄のお友達から貰えると思わなかったから、びっくりした。

「うわー、可愛いね、ありがとうって伝えてね!」
「お、おう。言っとくわ。あとな、サミからも一応あるけどそれはお前がもうちょっと大人になってからな」

すらすらと不自然な声色で説明する兄に、首をかしげる。
どうして今じゃ駄目なんだろうと思ったけれど、サミさんは一番大人っぽいから、子供の僕にはまだ早い物なのかもしれない。

考えていると、今度は一枚のバースデーカードを渡された。

「それからこれは、父さんから手紙な」

封筒を開けて出てきた、仕掛けがあるキラキラのカード。中には「ルカ11才のお誕生日おめでとう、愛をこめて。父より」と書かれている。

毎年ほとんど同じ言葉だけど、僕はありがたい気持ちになった。そういえば、顔しか知らないお父さんって、どんな人なんだろう?

手紙の字はお兄ちゃんにそっくりだから、顔も似てるのかな?

「ありがとう、大切にするね」

微笑んで受け取ったら、兄も微笑んで小さく頷いた。
父のことは気にはなるけど、母によれば頭の病気でどこかに入院しているらしい。だから会えないのだという。

悲しいことだし、皆も話題に出さないから僕もなんとなく言わないようにしていた。

「じゃあ最後は、俺からルカへのプレゼントだよ。はい。お誕生日おめでとう!」
「わーなになに? ありがとうお兄ちゃん!」

一番ドキドキして受け取り、ブルーの包装紙から出てきた黒い箱を開ける。
去年と違って、大人びた雰囲気だ。

「すごい、腕時計だー!」
「そうだよ。どう? 気に入った?」
「うん! 超格好いい! あれっ、これお兄ちゃんのに似てる?」

黒いスポーティーな腕時計に感動していると、兄はそれを僕の左手にはめてくれた。
やっぱり、兄の左手にもよく似てるやつがついている。

「よく分かったなー。お前前に俺の時計かっこいいって言ってたから、同じブランドのやつにしたんだよ。型は違うけど、ちょっとお揃いみたいじゃない?」

ふにゃっと柔らかい笑顔になった兄に、僕は思わず感動で胸がいっぱいになり、おもいっきり抱きついた。

「うん、お揃いみたい、僕嬉しい……! ありがとうお兄ちゃん!」
「ははっ、俺も嬉しい、ルカが喜んでくれて」

そう言って脇の下から、僕の体をひょいと抱き上げてきた。

「わあっ、恥ずかしいってば、皆外にいるのに! 僕もう11才なんだよっ」
「いいじゃん別に。俺はルカが何歳でも抱っこするよ?」

兄の満足そうな笑顔を見ていると、ちょっと顔が熱くなって、また負けてしまった。

もう一度かっこよく光る腕時計を見て、僕はわくわくした。お兄ちゃんと二人だけの繋がりが出来たみたいで、嬉しいな。
でもちょっと高そうだから心配になったら、「バイトしてるからだいじょーぶ」と笑われて、頭を優しく撫でられたのだった。

 

◇◇◇


誕生日のこの日は、願い通りいっぱい唐揚げを食べて、母の美味しい手作りケーキを平らげた。
そして僕の一番幸せなこと、それはお兄ちゃんが一日中近くにいてくれたことだった。

もちろん、一緒に寝る約束も取りつけた僕は、パジャマに着替えてベッドに座り、ぴたっと寄り添っていた。
Tシャツを着た兄のがっちりした腕に巻きつき、ふと見上げる。

「ねえねえ。僕たちの年の差、6つになったね。僕、お兄ちゃんに一歩近づいたよね?」
「えっ。まあそうだけど、お前もしかして早く大人になりたいの?」
「うんっ、だってお兄ちゃんにぴったりな格好いい男になりたいんだもん」

まだ気が早いけど、思い浮かべて一人で楽しみになってくる。
兄に「よしよし」と温かい眼差しを向けられ、僕はふと思った。

「あ、でももしかして、お兄ちゃんは僕が大きくなるの嫌かな……」
「え。なんで?」
「だって、僕のこといつも小さくて可愛いって言うでしょう?」

本気で心配になってしまった僕に、兄はくすっと笑いかけた。頭をくしゃくしゃ撫でられて、おでことおでこをくっつけられた。

「なに言ってんの。ルカが大きくなっても好きに決まってんじゃん。俺の年々増えるこの想い分かってないのお前」
「……ほんとに? 僕の背が伸びても?」
「うん。まあたぶん体格は俺が勝つけどなーまだまだ鍛えるし」

兄は自慢げに腕を出して力こぶを作ってみせる。確かにこんなにムキムキになった自分は、まったく想像出来ない。

「ルカはきっとすげーイケメンになるよ、俺に似て」

悪戯っぽくウインクして、肩を抱き寄せられる。
よかったぁ。大きくなっても可愛がってもらえると分かり、僕は安心した。

最近の僕、お兄ちゃんの気持ちを確かめるようなことたくさん言っちゃってる。ちょっと変かも。

「なあなあ。ルカのほうこそ、俺のこと嫌いになったりしないよな? このクソ兄貴うぜんだよ!とか言ってさ……まあそれはそれで萌えるかもしんねえけど……」

ぶつぶつ独り言を言いながら、どこか遠くを見て不安顔になったり、笑みを浮かべたり忙しくなっている。
よく分からないけど、僕は首を横に振った。

「ううん。僕お兄ちゃんのことずーっと大好きだよ。だから心配しないでね」

その気持ちを表すためにも、今日はちょっと勇気を出すことにする。
膝立ちになって身を乗り出し、兄の唇にキスをした。

「る、ルカぁ」

瞬く間に赤くなるお兄ちゃんの顔。なんだか見慣れてきたのに、もっと心が暖かくなる。

「またルカからのファーストキスもらっちゃった……」
「うんっ。僕ももう一才大人になったからいいでしょう?」
「全然いいけど、まだまだ子供だよ、お前は」

そう言って自分は大人のキスをしてくる。二人で舌をぺろぺろし合う難しいやつは、まだ僕は出来ないから、お兄ちゃんにまかせっきりだ。

でも負けたくないから、手を伸ばしておちんちんを探る。すると兄は途端に「んあぁッ」と腰が砕けて力が抜けていく。

「だめだよルカ、今日はルカの誕生日なんだから」
「誕生日でも診察はやってますよー。ほら、大人の先生の言うこと聞いてくださいね」

促されてベッドにごろん、と寝転がった兄。
僕は兄のTシャツをまくって日に焼けた腹筋を出し、下着もめくった。

「もう元気におっきしちゃってるね、お兄ちゃんの」
「ん、うん……ルカのせいだよ……」

おちんちんを両手でこすってあげながら、時々物欲しそうな顔をする兄の口にも、ちゅっとキスをしてあげた。
すると兄はいつもに増して、すぐにイッてしまった。

「く、あぁっ、ルカっ」

ぴゅるるるって出てしまう、何滴ものミルクたち。今日は僕がきちんと拭いてあげる。
綺麗にしたところで、兄が僕の上に来た。
広い胸が密着し、キスとともに腰をぐりぐり擦りつけられる。 

「ルカ、硬くなってるよ。気持ちいい?」
「……んっ、うん……っ」

パジャマのボタンを外されて、大きな手に胸を揉まれる。唇も吸いついてきて、兄の金髪がくすぐったい。
お兄ちゃん、いつもは出したあと少しぐったりしてるのに、今日は元気だなぁ。

僕のズボンとパンツが下ろされて、間に兄が入ってきた。この格好、赤ちゃんみたいで恥ずかしい。
そう思ってたら、兄にまたおちんちんをパクってされた。

「ひゃあぁぁん」

声が出てしまい、しまったと思って口を頑張って押さえる。「ルカのちんちん好き」とちゅうちゅう吸う兄の口も、全然言うことを聞かない。

「はあはあ、お兄ちゃん、もういっちゃうかもっ」
「ん? まだダメだよールカ」

いつもいいよいいよって興奮して言うのに、初めて禁止されて混乱する。
いじわる、と反抗しそうになったら、兄は信じられない行動に出た。

僕はお尻を少し上向くように持ち上げられた。兄の口が、おちんちんより下のほうに下がっていく。
そしてなんと、あそこにむちゅって口をつけちゃったのだった。

「やっ、やあっ、んあっ、お兄ちゃんっ」

そこは僕のお尻のはず。
どうして?
お兄ちゃん、僕のおちんちんが好きすぎて、場所を間違えちゃったの?

「だめえ、そこ違うの、にいちゃっ、ばかぁ」
「んールカのここ可愛い、めっちゃピンク、すっげえ美味いよ」

全然聞いてないし、僕のお尻の真ん中にずーっとキスしている。それどころか、舌をぺろっとさせたり、ペロペロさせたり、最終的に舌の先っぽで中をツンツンつついたりしてきた。

「おにいちゃ、や、んあっ、なんで、だめなのっ、そんなとこっ」
「はあ、はあ、ルカぁ、でも、気持ちよくない? ちょびっとだけ、ね?」

尋ねられて必死に考えるけど、くすぐったいし、濡れてるし、変な感じがする。
でも兄がそこを舐めながら、同時に僕のおちんちんまで右手でゆっくりこすってきて、だんだん敏感になってきてしまった。

「んっ、んんっ、変だよ、おちんちんも変っ」
「良い? 感じるのルカ」
「……ぅ、うん、感じちゃうよぉっ」
「どんな感じする? ここも舐められるの気持ちいい?」
「あっ、んぁんぅっ、……気持ちいい…っ」

どっちが良いのかわからなくて、もしかして両方気持ちいいのかな、なんて考え始めたとき。
腰がビクビク震えだした。

なに? いつもと違う。
僕のおちんちんがもっともっと苦しくて、なんだか下のほうから何かが上がってくるような、ドキドキ心臓が迫ってくる感じでーー。

「だ、だめっ、お兄ちゃん、僕おかしい、おちんちん、おしっこ出ちゃうかもっ」
「……えっ!?」

兄がびっくり顔を上げた瞬間だった。
よく分からないのに、気持ちよくて何もかも真っ白になってしまった僕は、力を抜いてしまった。
すると、僕のおちんちんの先っぽから、白い液体がぴゅっぴゅっ、って飛び出た。

そう、僕はなんと、初めて兄と同じ体験をしたのだった。

「……はあぁ……、あ、あ、……ん」

パジャマがはだけ、お腹に精液が飛んで、おへそあたりに白いのがぽたぽたと溜まる。
おしっこじゃなかった。
でも僕は訳がわからず、ただ息をつくしかできなかった。

「る、ルカ……」

顔を上げると兄の瞳は完全に潤んでいた。

「うそ……しゃ、射精しちゃった、ルカ……初めて、……俺の前で……ッ」

感動的な面持ちで、僕の上に大きな体が覆い被さってくる。
兄の体まで濡れちゃうのも構わず、きつくきつく抱き締められた。

まだ力が抜けきっていた僕は不思議だったけど、兄がすごく喜んでいるのは伝わった。

「お兄ちゃん、これなあに…? 僕もお兄ちゃんみたいになっちゃったの…?」
「うん、そうだよ。ルカも大人の男に近づいたんだよ。すげえ、おめでとう……!」

……そうなの?
僕も兄のように、格好いい男の人になれるっていう印?

「ありがとうお兄ちゃん。でも僕、すっごい恥ずかしい……いっぱい出しちゃったよ」

思い出したように顔がどんどん火照っていく。大げさじゃなくて、こんなに体全部を隠してしまいたくなるほどのこそばゆい気持ちは、生まれて初めてのことだった。

「いや、それは分かるよ。俺だって、いつもルカに搾り取られるの、すっげえ恥ずかしいんだからな? 本当は」

頭を撫でて伝えてくれるお兄ちゃんが、照れたように笑う。

そうだったんだ……。
お医者さんになりきって、僕は半分はしゃいで兄のおちんちんを一生懸命治療していたけれど、こんなに赤面しちゃうものだったんだなって、初めて知ってしまった。

でもお兄ちゃんは、こんなすごいことをいつも僕に任せてくれたんだ。
なんだか、胸がドキドキして、気持ちがあふれそうになってくる。

「お兄ちゃん、大好き……すっごく好き」
「……えっ。どうしたのルカ。超嬉しいけど。……俺も大好きだよ、ルカ」

口にちゅっとされて、それがお祝いのキスのように感じた。
この日は僕の誕生日なんだけど、兄が言ったように、本当に嬉しいことが二つも起きてしまった。



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