▼ 実験にて
(本編77話おまけSS)
俺達の実験が始まってもう数時間経っていた。俺は今日、弟の肉体を自分の好きなように扱い、あらゆる感度を調べ、媚薬試用前後の状態をしっかり調査しようと思っていたのに……全然違うことになっている。
「……んっ、んっ、……まって、クレッド、止めて……」
「なに? 兄貴……休みたい?」
弟が優しい声音で問いかけ、視線をじっと合わせてきた。腰の動きを一旦止めて、前かがみになる。
「んあっ……はあ、はあ……」
息をついてる間、クレッドが頬を撫でたり、小さなキスを与えてくる。
俺はわずかな刺激にも耐えながら、ゆっくりと口を開いた。
「なあ……まだ効果、出ない? お前の媚薬……」
弟はまるですっかり忘れていたかのように、俺の問いに目を丸くした。
「出てないな。……やっぱりこれは、兄貴への呪いなんじゃないか? 俺の……出したやつ」
にやりと妖艶な笑みを浮かべ、もう一度腰をぐっと入れてきた。
「んあぁっ! もう、動くなっ」
「どうして? ……つらい? 俺のが……たっぷり中に入ってるから」
ーーこの変態野郎ッ。
こいつさっきからおかしい。俺が奴のを口に含み、あろうことか全部飲んじゃってから、何かのスイッチが入ったかのように色々と卑猥な事を言ってくる。
「兄貴、口開けて……舌も……出して」
うっとりとした顔で命じて、俺の唇を長い指でなぞってくる。少し開いた隙間から、指をそろりと中に入れて、また舐めさせる。
合間にキスをして舌を潜り込ませ、中をくちゅくちゅと掻き回す。ずっとこんな風にして、俺の口に執着している。
「んん、ふっ、ぁ」
「ああ、上手だ……やっぱり、気持ちいいな……」
俺の口淫がよほど気に入ったらしい。もう口の周りが唾液でベトベトだ。早く解放して欲しいんだけど。
羞恥を堪え目で訴えていると、クレッドがさらに興奮した顔を俺に向けてきた。
「ああ、かわいい……この体も、この小さな口も、全部俺のものだ……」
ーーは?
まるで心の声が自然に漏れたかのような弟の言葉に、俺の中で急激に反抗心が生まれた。
奴の指を口で挟み、少し力を入れて、ガブッと噛んでやった。
「ーーッ、な、どうしたんだ?」
はは。クレッドがびっくりした顔でこっちを見ている。
「いい加減にしろよ、お前、俺の口で遊び過ぎなんだよっ。痛かっただろ? 分かったらもう止めろっ」
「……い、痛くない。今のもう一回して、兄貴……」
「何言ってんだ、この変態ッ」
俺の罵りも全く堪えてない様子で、さらに興奮してきたのか、クレッドは再び腰の動きを再開させた。
「ん、や、やめろって、ああっ」
「なあもう一回だけ……噛んでみて」
「お前頭おかしいぞっ」
「だって兄貴には、何されても気持ちいいんだ、俺……」
何故かにっこりとした笑顔で告げられ、ゆるゆると気力が失われていく。
俺、こいつのこと本気で好きだけど、弟はもっと重症なんじゃないか?
毒気を抜かれていると、また凝りもせず口内にクレッドの指が入り込んできた。
弟の熱意に負けてしまった俺は、今度は噛みつく代わりに、丁寧に舐めてやることにした。
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