俺の呪いをといてくれ | ナノ


▼  24 お願い ※

「兄貴……馬鹿じゃないのか?」
「んんっ、やめ、触るなっ」
「どうして大人しくしてられないんだ、いつもいつも……ッ」
「はな、離せってば、このっ」

団長室のソファの上で、俺達兄弟は二人で何をやっているのだろう。俺を後ろから抱え座っているのは、騎士団長の弟だ。服の上から色々な所を弄ってくるのに抗おうとするが、全く止めようとしない。

こいつ、頭がおかしいんじゃないのか。自分の職場で、こんな事して。さっきまで偉そうに部下に指示してたくせに。

「誰か来るだろ、やめろよっ」
「来ない。心配するな」

なんでそう言い切れるんだよ。来ないとしても、こんなところで始めたらまずいだろ。俺がなんとか逃げ出そうともがいていると、クレッドは手の動きを止めて、はあ、と深い溜息を吐いた。

「何をされた? 正直に言えよ」

声に苛つきを残したまま、俺に問う。予想していた言葉にぎくりとした。
けど、こいつあの時の尋問でまだ懲りてないのか? 確かに今回は俺が悪いかもしれないが、不可抗力だろ。

「縛られただけだって言ってんだろ! あの馬鹿でかいお前の部下のせいだよっ」
「ああ、グレモリーはすぐ力に訴えようとするんだ。それはどうでもいい。ユトナの方だ」

……は? そんな人いたっけ? ああ、あの顔は良いが鬼畜っぽい野郎か。思い出しただけでちょっと寒気がする男だ。

「何もされてねえよ」

本当は顔を撫でられたが絶対に言わない方がいいだろうと判断した。たとえそれだけだったとしても、こいつがキレたら怖い。俺は弟による尋問が軽くトラウマなのだ。

「嘘だろ、それ」
「な、なんでそう思うんだよ」
「あいつ、変態じみてるからな。兄貴を見る目が異常だった。俺は心配なんだ」

おいお前がそれを言うのか? 実の兄貴に今こんなことをしているお前がか。完全な同族嫌悪じゃないのかそれは。もう話題をそらしたほうがいいと判断した俺は、本題を問うことにした。

「つうかお前、なんで俺が教会で働くことになってんだよ、勝手に決めやがって!」
「もう決まった事だ。兄貴には従ってもらう」

はぁ? なんなんだこいつ、すでに開き直ってるし。答えになってねえじゃねえか。これから俺がどんな事態に見舞われるのか、本当に分かってるのかよ。
ああもう己の運命を呪ってやりたい、いくら自分で蒔いた種とはいえ、色々許容範囲越えてきてるぞ。

「……兄貴?」
「ん、……なんだよ」

俺が黙っていたことが気になったのか、クレッドが耳元で切なげに囁いてくる。この野郎、もうこの体勢じゃ全然集中出来ないんだけど。

「言わずにいて、悪かった。手配に少し時間がかかったんだ。……でも、兄貴には俺の近くにいて欲しい。……だから、頼む……」

不意に告げられた弟のしおらしい言葉に、また心臓がドクドクと不自然に波打つ。
だから俺そういうの弱いって言ってんだろがッ。こいつわざとか? 甘えるみたいな声出しやがって。そんな風に言われたら、無下に出来ないだろ……

なんて答えようか考えていると、クレッドが俺の首筋に柔らかな唇を押し付けてきた。口を開けたり閉じたりして少しずつ吸い付いてくる。

「んっ、おいっ」

時折舌を這わせて、首への愛撫を続ける。その間、後ろから回された両手が服の中へと入り込み、腹から胸を弄ってくる。指先と手のひらで揉むように触られ、耐えられなくなり体をよじる。

「兄貴、気持ちいい……?」
「あ……あぁ、や、だ……」

互いに服を着たままのせいか、変な感じがする。それに弟が制服だからか、匂いもいつもと違って落ち着かない。
俺の反応を楽しむかのように耳元に唇を触れさせ、わざと色っぽい吐息を漏らしながら、舌先で舐めあげてくる。

堪えきれず体を震わすと、クレッドの手が俺のスボンに伸ばされた。中に手を潜り込ませ、下着の上からすでに勃ち上がってしまったものを撫でてくる。

「ああっ……さ、さわんな……」
「でも……もう、濡れてきてる」

卑猥な言葉を吐かれ、一気に体が熱くなる。手がいつの間にか下着の中まで入り込み、指の腹で上下に擦られる。
喘ぎが漏れ、直接与えられる快感に腰がずり落ちていく。後ろから上半身を抱えられたまま、くちゅくちゅとしごかれ続ける。

「あっ、んん、んぁ、はぁっ」

こんな場所で何してるんだと思っているのに、腹をビクつかせ、快感に悶えてしまう。するとクレッドが俺の腰を持ち上げ、自分の上で膝立ちにさせた。
顔が見えない為、何をする気なのか分からず混乱していると、強引にズボンを脱がせてきた。

「な、なにっ、駄目だっ」

下だけ完全に剥ぎ取られ、後ろから腰に手を添えられる。突然尻の辺りにぬるっとしたものを感じ、指の腹で油のようなものが真ん中に塗られた。
どこから取り出したんだよ、と思ったのもつかの間、そのまま中に指を入れられ、ゆっくりとほぐされる。

「んぁっ、あぁっ」

ここでするつもりなのか、と内心焦る俺の気も知らないで、クレッドが自分のモノを入り口に押し当ててきた。

「ん……兄貴……もう、入れたい」
「だ、め……だ、服が汚れる、だろっ」
「別に、いい……ッ」

いいわけないだろ馬鹿かこいつ、そう思っても、どうせ俺の言う事なんて聞くはずがない。弟は俺の腰を両手で持って、ゆっくりと下に降ろし、自身を挿入させてきた。硬くて熱い、太さを持ったそれが奥までどんどん達してくる。

「ああ、ん、んあぁっ」

昨日もたくさんしたのに、入れるときの衝撃にはまだ慣れない。でも、まるでその形をすでに覚えてしまっているみたいに、自然に奥まで受け入れていく。

「兄貴の中……ああ、良すぎる……」

俺の腰を持ったまま、下から何度も突き上げてくる。後ろからされていて、いつもみたいに弟の体が見えず、掴まる場所もない。
この体勢は慣れないし、苦手だ。俺はとっさに、触れていた弟の手を強く掴んだ。

「まって、あぁ、はぁっ、クレッド、待て、ってばっ」
「なに……? 兄貴?」
「ま、前から……」
「……え?」

そう口に出して、やっぱりすぐに後悔した。自分からそういう事を言ったことがないせいか、不自然だ。こんな時、いつもペラペラと恥ずかしいことを言えるこの弟が、羨ましくなる。

「……む、向かいあって……」

なんとか続けようとするものの、言葉がそこで途切れてしまう。何言ってるんだ俺は……そう思いながら、体がさらに熱くなり火照ってくる。
だが、黙って聞いていた弟の動きが完全に止まった。クレッドは俺の腰を持ち上げて、自身を引き抜いた。

「んあぁっ」

すぐに俺を反転させ、膝をついた状態の俺を見上げてくる。息が上がったままの、赤らんだ顔をした弟の濡れた蒼い目にじっと見つめられ、心臓がドキドキする。

「……顔見ながら、したい……?」
「そうは、言ってないだろっ」
「……でも、そういう事だろ?」

にやりと笑って尋ねられ、再び全身が熱を帯びる。答えるのは恥ずかしく、目線を外して奴の肩に頭をのせた。
すると弟が俺の体に腕を回し、自分のほうに引き寄せてきた。ぎゅっと抱きしめられ、制服ごしに温もりを感じる。

俺が顔を上げると、そっと口づけをされた。何度か小さいキスを繰り返し、無言で見つめられる。
やがて音を立てながら舌が中に入り込み、互いに絡ませ合う。口を離した弟の、潤んだ瞳が再び俺を捕らえてきた。

「……兄貴、かわいい……」

そう呟いて、もう一度深いキスをしてくる。……え? 俺が……なに?
衝撃的な弟の発言に、一瞬目がくらむ。だがクレッドはかまわず、丁寧に俺に口づけてきた。

「また……入れていい?」

うっとりした顔で俺を見ながら、小声で問われる。なんでいちいち聞いてくるんだ。俺が何も言えないこと分かってるくせに。
クレッドは俺の体を抱きかかえたまま、今度はソファにゆっくりと押し倒してきた。予想していなかった動きに俺は目を見開く。

「この方が、全部見える……」

そう呟いて、俺の服を胸の上まで捲し上げ、肌に手を這わせた。はぁ、はぁと細かい息づかいを聞かせながら、足を持ち上げ、再び自身を中に挿入させる。奥までしっかり入ったことを確認すると、腰の動きを再開させた。

「あ、あぁっ、んあっ」

急激に迫りくる快感の波に、さっきよりもさらに感じてしまう。中が弟のモノで満たされたまま、腰を前後に揺らされる。

でも、ああ、これはまずい。俺は半裸なのに対して、制服をがっちり着込んだクレッドが目に入り、途端に羞恥心が強く湧き上がってくる。
自分で希望しておきながら、段々恥ずかしさに耐えられなくなってきた。

「あ、兄貴……中、気持ち……いい」

体を揺らして俺を見てくる弟と視線がかち合う。クレッドは腰を打ち付けながら、俺の勃ち上がったものを手で撫でてきた。
長い指で優しく包み込むと、また上下に擦り上げてくる。二つ同時に与えられる快感に、腰がビクついて浮いてしまう。

「ん……両方、弄るの……好き?」
「や、あぁっ、んんっ、あぁ」
「兄貴の体……すごく、やらしい……」
「あ、あ、ちがっ、んぁっ」

動きが次第に激しくなり、二人の息が上がっていく。卑猥な音を響かせながら、喘ぐのを止められなくなる。自分でも、中がぎゅっとするのを感じてきて、もうすぐ限界だと悟り始める。

それに前も、同じだ。クレッドにされているのが見えて、余計に羞恥が煽られる。イッてしまうかもしれない、そう思った時、弟の体がもっと俺のほうにのしかかってきた。

「……だ、だめだ、体、はなせっ」
「でも……もっと、近くに、感じたい」

何言ってるんだ、このまま続けたら確実に服を汚してしまう。そう思って手で押し返そうとしても、重い体がなかなか動かない。
さらに奥までぐっと入ってきた弟のものに、じわじわと快感が上り詰めていく。

「あ、だめ、だって、は、はなし、て」
「もう……イキそう?」

耳元でそう囁いて、クレッドが上体を起こした。今度は何をするつもりなんだと眺めていると、突然弟が制服の上着を脱ぎだした。
あっという間に上半身が裸になり、逞しい肉体が露わになる。一瞬時が止まったかのように目を奪われている俺の前で、弟がにやりと笑った。

「これで、いいだろ?」

そう言って再び俺に覆いかぶさると、今度はもっと体を密着させて、腰を奥深くまで打ち付けてきた。

「は、あぁ、んぁっ、もう、い、イクっ」
「一緒に、イッて、兄貴……」
「あ、あぁっ、クレッドっ、んあぁッ」

激しく何度も突き立てられ、弟がさらに前のめりになって俺を揺さぶった。耳元でクレッドの色づいた喘ぎが聞こえ、その瞬間、俺の中にたくさんの精液が注ぎ込まれた。

下腹部がきゅうっとなり、中がビクビクっと締まるのを感じた。同時に弟の腹で押し付けられた俺のモノが、何度か痙攣し、そのまま果ててしまう。
互いの肌の間にぬるりとした感触が広がり、やばい、やってしまったと、すぐに頭を抱えたくなった。

「……はぁ、はぁ……兄貴……」

クレッドが浅く息を吐きながら、体を起こす。上気した顔で俺を見下ろすその姿が、妙に艶めかしく映る。

「俺の腹にも、たくさん……」

口元に笑みを浮かべながら、弟が言う。馬鹿かこいつ、なんでそんなに嬉しそうなんだよ……恥ずかしい気持ちを必死に抑えている俺の上に、再び体をくっつけようとしてくる弟を手で制止する。

「ああっ、また、つくだろっ、お前ッ」
「もっとつけて、兄貴の……」

そう言って、俺の言うことを聞かずに体を押し付け、何度目か分からないキスを与えてくる。完全に抵抗することが出来ない俺も、すでに相当頭がやられているに違いない。
そんな自分に呆れながら、そのまましばらく、弟の熱い口づけを受け入れていた。



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