お父さんにお世話してもらう僕 | ナノ


▼ 36 お父さんをお世話する僕

父が退院した日、僕達は入院中お世話になった叔父を玄関先で見送っていた。ジャケットを羽織った金髪長身の男が荷物を抱え、悶々とした顔つきでいる。

「やっぱり心配だな。先輩、本当に二人きりで大丈夫ですか? そうだ、しばらく俺いれて三人で暮らしますか? なあロシェ」
「えっ。ええとーー」
「いいや、大丈夫だ。何とかやるよ。世話になったな、ギル」

さらりと述べる父に叔父が苦笑する。しかし優しい叔父はその後も「買い物は一人じゃきついでしょうから、週一で付き合いますよ」と言ってくれた。

「叔父さん、本当にどうもありがとう。叔父さんがいてくれて心強かったし、楽しかったよ」
「俺もだよロシェ。……ああなんか寂しい! いいか、助けが必要だったらすぐ連絡するんだぞ。またヘルプに来るからな」

僕と同じ青い瞳にウインクされる。嬉しく思って頷く顔ごと、広い肩でハグをされた。この五日間ずっと叔父と一緒にいたから、ちょっぴり寂しさが湧いた。

じゃあまたね、と笑顔で別れ、再び一軒家に僕と父が残った。
車イスを走らせ、廊下を抜けて居間に向かう。隣を歩く父をちらちら見るが、なんだか照れくさい。帰ってきてくれて嬉しいし、さっきも早速キスしてしまったのに。

まだ午前中だから、二人でブランチを取ることにした。台所で準備をし、片手が使えない父も食卓に少しずつ食べ物を並べてくれている。

僕は間違えて、父の前にナイフとフォークを置いた。そうだ、今は僕と同様フォークだけでいいんだ。二人で腰を下ろした時にさっと取り除くと父と目が合ってしまった。

「あ、ごめんお父さん」
「いいよ」

頭に手を乗せられる。その時改めて実感をした。手首を骨折したから、三ヶ月間はこうなんだなって。
しんみりして黙っていると、フォークでハムを刺している父がこちらに向いた。

「なあ、楽しかったか。ギルと二人で」
「うんっ。大丈夫だったよ。あとね、ニルスくんとレイさんも差し入れ持ってきてくれたんだ。写真も撮ったよ」

帰ってきてから教えようと思い、つい明るく話してしまった僕は、携帯を開き父に見せた。父も一緒にまた皆で集まろうって約束もしたと伝えた。

父はまじまじと見入っていたけど、「まあいいか」と了承されたので嬉しくなる。でも、レイさんに対してはまだどこか複雑な面持ちだった。

前に焼きもち妬いてる、みたいなことを言われ驚愕したのを覚えていた僕は、思わず父に教えてしまう。

「あのね、たぶんだけど、レイさんって叔父さんみたいな人がタイプっぽいよ」

自分でもお喋りだって思ったものの、僕は正直言って身の潔白を証明したかったのかもしれない。すると父は僕以上に唖然としていた。
でもしばらくして「そうか。人の自由だしな」と呟き、僕の肩を抱く。そのまま背もたれに背をつき、肩の力を落としていた。

父は普段クールだし、僕らは普段噂話とかあんまりしないけれど、叔父に対しては最近とくに関心が芽生えていた。

「ねえねえ、ギル叔父さんって恋人いるのかな」
「え? さあな」

父はまったく興味がなさそうに、眼鏡を取り、レンズを拭こうとした。しかし片手じゃ出来ないことに気がつき、僕に頼んでくる。

まだ食卓前で指でふきふきしていると、耳に驚くべき事実が流れ込んできた。

「ギルか。俺はあいつが誰かと付き合ってるところを見たことがない」
「ええ! そうなの?」
「ああ。お前もないだろ。……まあ裏で何やってるのかは分からんが」

訝しむ父の台詞に、冗談だとは思いつつ考えこむ。

「でもあんなに格好よくて、叔父さんモテそうなのにね。意外だなぁ」

叔父の話になったから、料理は苦手だったけどマメですごく優しいとか感じたことを伝えた。

「お前、そんなこと考えたりするのか」
「えっ?」
「誰々が格好いいとか。男でも」

そこに突っ込まれるとは思ってなくて、一体どうしたんだろうと、しどろもどろになってしまった。離ればなれだったし、退院したばかりだからか、父はまだ気が立ってるのかな…?

「えっと、客観的にだよ。僕の家族だけど、ちょっとそう思っただけで…」
「俺もお前の家族だよ」

顔を迫られて息が奪われそうになる。まるで俺はどうなんだ?と詰め寄られてる感じがして、どきどきで倒れそうになった。

「お父さんが一番格好いいってば、知ってるでしょうっ」

赤くなって負けた気分で叫ぶと、片腕が伸びてくる。
そして耳と頬の間にキスをされて、「んあっ」と声が出た。
ようやく体が離され解放されたと思ったら、まだ僕の目をじっと見てくる。

「大丈夫?」
「…………」

物言わぬ父の頬に手を伸ばした。親なのにいいのかなって思ったけど、撫でてみる。父は一瞬瞳を揺らしたが、僕の手を上から握った。

「ロシェ。今日は俺のとこにーー」
「だっダメだよお父さん、今日は」
「あ?」
「しばらく我慢しないと。一緒に眠るの」

微動だにしなくなった父に「冗談だろう?」と言われたけれどふるふると首を振る。僕だって一緒に寝たいし父に触りたい。
でも、まだ手術の傷だって塞がってないし、僕はただでさえこんな体だし、父の体に何かあったら絶対に駄目だから。

「なんだそれは……いや、分かるが…………やっぱり分からん」

明らかなショックを受ける父をなだめたけれど、あまりうまくいかなかった。



次の日の日曜日。実は問題は山積みで、これから徐々にそれを感じることになる。

「え? 介護タクシー?」
「ああ。通学のためにとりあえず一ヶ月間、予約したからな」

さらりと決まったことを述べられて僕は驚いた。父がしばらく車を運転出来ないことは知っていたが、僕には違う考えがあった。

「でもお父さん、僕、バスでも行けると思うよ。停留所は家から近いし、学校の目の前だし。それにタクシーって毎日往復したら、とんでもなく高いんじゃないの?」

居間で隣に座る父に、不安を隠さず尋ねる。だが父は僕の提案に難色を示した。

「お金のことは心配しないでいい。バスは……俺は勧めない」

話を聞くと、運賃は介護保険からいくらか補助金が出るという。でも僕はそれでも心配だった。父も大変なのに、自分のせいでこれ以上負担がかかっていいのかと。
バスに関しては、通学通勤の時間帯は混雑するし、自分が毎回付き添えるか分からないから、という理由らしかった。

確かに僕は車イスになってから一人で公共機関を使ったこともないし、父の懸念は分かる。でももう十六才で、そろそろ色々なことを乗り越えていくべきなんじゃないかっていう思いがあった。

結局父に「とりあえず一ヶ月だ。そのあとは俺が送っていけるかもしれない」と説得され、僕は従うことにした。
もっと自分でも出来ることを増やしたいっていう気持ちはあったが、今問題を起こしても迷惑になる。それは事実だったからだ。


翌週の朝、さっそく介護タクシーが迎えに来てくれた。大きめのワゴンで、父と同年代ぐらいの制服を着た運転手さんが降りてきて、僕のことを後部座席に運び乗せてくれる。

最初は驚いたけれど、彼らは介護資格を持っていて介助込みだから値段が高めなのだという。ちなみに基本的には、家族などの同乗も禁止されている。付き添いできるとタクシーが不要だと見なされるからだそうだ。

「では出発しますね」
「よろしくお願いします。ロシェ、気を付けろよ」
「うん、行ってきますお父さん」

窓から手を振って、父と別れた。僕は父の骨折により、仕事や経営する会社はどうなってしまうのかと心配だったのだが、完治するまではもちろん電気技師の作業はできないため、しばらく事務仕事に専念するという。

父は同僚であり幼馴染みでもあるセルヴァがいるから大丈夫だ、と笑んで安心させようとしてくれた。

それから僕は朝と放課後、介護タクシーにお世話になった。
朝は走る車内からバスに並ぶ長蛇の列を見て、やっぱりあそこに入るのは難しいのかなと途端に怖じ気づく。

仕事として介助をしてくれる運転手さんにお礼を言い、こうしたサービスがあることを切にありがたく思いながら、自分が片麻痺の障害者であること、そして当たり前のように日々送り迎えや面倒を見てくれている父に対し、改めて凄いことをしてもらってるのだと、感謝と実感がわいた。


そんなある日、支援学校の中庭でお昼休みの時間に、セス君とお喋りをしていた。彼は僕と同じく車イスを使用しているが、障害は少し違って、両足に麻痺がある。

「ロシェ君。お父さんの具合どう? 二人とも片手が使えないと、結構不便だよね」
「うん、そうなんだよね。二人で協力して色々やってるけど。お父さんは元気だけど、やっぱり自由に使えなくてイライラはするみたい」

彼も分かるよと頷き、自分達に身の覚えがありすぎる僕らはとくに、父の気持ちが汲み取れていたと思う。

「ねえセス君って一人でバス使ったことある?」
「うん。あるよ。買い物とか、お母さんが車使えないときに時々使ってる」

僕は自分よりも経験豊富な十四才の彼に、すごいなぁと素直に感心した。そこで僕ももうすぐ挑戦してみようと思ってることを伝えたら、父と同じように少し心配されてしまった。

「良いと思うんだけど、ロシェ君は半身麻痺だから、車椅子の操作が俺よりも難しいところがあると思う。最初は付き添いの人と練習したほうがいいよ」

そう言われて、確かにと頷いた。両手が使えれば自分で車輪も動かせるし、片足のペダルと片手のレバーで半自動のように運転している僕とは、まるで状況が異なる。

何かあったときの不安定さは、自分でも感じていた。だから完全に一人でお出掛けしたことも僕はなかったのだ。

「でも、お父さんは今怪我してるからな……やっぱり今色々やろうとするのは無謀なのかな」

そう考えて、僕は一度は諦めたつもりだった。





父が手首を骨折してから、三週間ほどが経った。包帯は取れたけど、手首に縦一本に入っている傷跡が痛々しく、見るたびに胸がずきりとした。
そんな父は今、台所に立ち、フライパンでステーキを二枚焼いている。

「ロシェ、出来たぞ」
「ほんとだ。美味しそう〜」

お皿に入れてもらい、ちぎっただけのサラダと簡単に切って炒めた野菜と一緒に、食卓へ運んだ。ちなみに切るときは父が野菜を押さえ、僕がそーっと丁寧に切った。

ステーキにはいつもポテト炒めを添えるけど、皮を剥くのは今の僕らでは出来ない。父の退院後、しばらくは魚の切り身のソテーとかも食べていたが、肉好きな父は我慢がそろそろ出来ないらしかった。

「困ったぞ、ロシェ。肉が切れん」
「あっ。本当だ!」

食卓で隣に座っていた父が立ち上がり、よく切れるナイフを持ってきて、僕の後ろに回り込んだ。吐息を感じて少しドキドキしながら、僕がフォークを持ち、父がナイフで切ろうとする。

しかし、僕は左麻痺で右手が使えて、父も左を怪我して利き手が使えるから、柔らかいお肉だと二人で切りづらかった。

「くそっ、難しいな」

珍しく人前で悪態をつく父に、なんだか申し訳なく思う。いつもはお肉は父が僕の分も切り分けてくれていた。
でも僕はあることを思い付いた。台所に向かい、料理用のはさみを持ってくる。

「お父さん、ちょっと行儀悪いけど、これ使わない?」

そうして父がフォークでもちあげた肉を、一生懸命はさみで切った。二人分そうして、皿に角切りの肉が盛られていく。

「なんか不格好。ごめん」
「いいよ、食えれば。うん、美味い」

頬張ったあとに、頭に手をぽんと乗せられる。ありがとな、と付け加えられて僕も笑顔が出た。
少しぐらいやり方が違っても、結果がほとんど変わらないならいいのかなって、その時気づいたのだった。




「ロシェ。俺はいつまでお前と寝るのを我慢すればいいんだ?」

そう父に言われたのは、それから数日後の土曜日のことだ。
おやすみ、と言い廊下で父のキスと抱擁を受けたあとで、車イスで自室に戻ろうとした。すると父の手がまだ肘掛けにある僕の手を握っていることに気づく。

「お前は平気なのか? 俺がいなくても」

冒頭の台詞に続けられて、言葉に詰まった。平気じゃないし、寂しいよ。そう言おうと思ったけれど、父の手首を見る。
僕の視線に気づいたのか、父は目の前にしゃがんだ。

「平気だよ。ぶつけないようにすれば」
「……でも、僕寝相悪いかも。……わかった、じゃあベッドの端で遠くに眠ってれば…!」
「おい。あんまり悲しませることを言うな」

ぴしゃりと言われ、父が僕の車イスを押そうとする。だめだよ!と言ったけれど、「抱き上げられないのが腹立つ」と逆に文句を言われながら、僕は問答無用で父の寝室に連れ込まれてしまった。

寝る時間には、久しぶりに入る父の部屋だ。
昔は僕が秘密の介助を頼んだことから、二人の関係は始まった。元々は夢精に悩んだ自分が自慰を助けてもらっていたのだが、今では一人で達することも出来るようになった。夢精だって久しくしていない。

でもそんなことは関係なく、僕らはもう恋人になったのだから、当然触れ合いたいときがある。父も同じなのは嬉しかったし、そもそも本当のセックスが出来た、と喜んでいた矢先の怪我だったから、色々我慢の限界だったりもする。

「わっ、わあ! お父さん、何するの?」
「なにって、お前が欲しいんだよ。いいだろ? もう駄目とか言うな」

まるで子供みたいな言いぐさで覆い被さろうとしてくる。僕ははだけられる寝間着を必死に戻そうとしながら、力ない抵抗をしていた。

「本当のエッチは出来ないよ。我慢してお父さん…」

片腕をつく父を見上げ、怪我をした手首の上のほうをなぞる。すると父が悩ましげな顔でぴくぴく反応した。
そのまま顔をゆっくり下げて、僕の唇に自分のを重ね合わせる。しっとりと熱を帯びたキスに、全身が目覚めそうになってしまう。

「……んっ……」
「じゃあどうするんだ…? ロシェ……」

見つめ合い、僕は考えを巡らせた。ちょっと確かめるために、父の寝間着のズボンに手を伸ばす。真ん中を優しく擦ってみると、その形が分かった。途端に愛しくなってきて、心が揺らぐ。

「おいっ」

注意されたけど、父は片手が使えないから、今動けない。まるで普段の僕と反対の立場になったみたいで、ちょびっとドキドキした。

「ねえねえ、二人で舐めっこしよう? そしたら口しか使わないし、気持ちよくもなるよ」

いい案だと思って伝えたのだが、父は唖然として、表情から力が抜けそうになっていた。
でも、こうするしかないと思ったのだ。もちろん全部したいけど、前はそういう風な触れ合いだったんだし、それだけでも僕は十分幸せだ。

父はなんと承諾してくれた。僕はフェラチオをするのはまだ一回しか許されてなかったから、ダメもとだったけれど、お互いにするってことでOKが出たのかもしれない。それか父も色々限界だったのかもしれない。

「ねえお父さん、ベッドのそばに立ってくれない?」

僕はさらに自分のやり易いようにお願いする。父にいつも助けてもらってたが、今回は自分がリードするのだ。といってもお願いなんだけど。

「お前な、どこでそういうことを覚えてーー」
「? なあに?」
「……いいや、…」

ぶつぶつ言いながら、シャツのボタンが半分はずれている父が、ベッドに座る僕の前に立った。こんな体勢で始めるの、初めてだ。わざわざ見上げないと父の顔が見えない。自分で言ったのに恥ずかしくなってきた。

でも決意をし、何食わぬ顔で父の下半身を撫でる。

「ん……おちんちん出して、お父さん……」

顔を上げてお願いしたら、暗がりの中で父の呼吸は浅く、興奮が伝わってきた。眼鏡もつけたままだし、全部見られてると思うと僕もおかしな気分になる。

現れたぺニスは、大きくそり立っていた。長くて太くて、男らしい格好よいお父さんのもの。久しぶりに会えて嬉しく思いながら、僕は右手でしごく。

「ああ、……っ……」

ちらっと見ながら、父に「上も脱いで」ってお願いした。父の体が全部見たかったし、気分が高まっていた。
父は片手で服をはらりと脱ぐ。たくましい上半身と腹筋に見とれながら、僕は父のぺニスを口に含んだ。

「んっ、っう、…むっ……、ん、もっと……近くに来て……」

くわえている途中でまた要求をする。座りながらだけど、馴れてないから結構難しい。父は一瞬迷ったあと、僕のほうに一歩踏み出し、腰を前に突きだした。

「んっ! んう」

太くて硬いものが口いっぱいになる。大好きな父のだからと頑張ってしゃぶっていると、父のおおきな掌が僕の頭に乗る。優しく撫でられて、くすぐったく感じた。

そしてその温かい手は、僕のほっぺたを包む。ぺニスが近いし、舐めてるところを互いに意識してると思い、口が止まりそうになった。
でも手が今度は僕の喉をソフトなタッチで撫で上げる。

「いい子だ、ロシェ……上手になったな」

顔を下ろして耳元で囁かれ、舌の動きに影響が出る。父のぺニスを舐めてるだけなのに、自分のおちんちんまでムズムズしてきた。

「はっ、はむっ……ん、んんっ」

下着の中で集まる熱の存在をそらすために、顔を前後に動かして、ぺニスを頬張る。少し苦しくなりながら、父は気持ちいいのかなと思って上目使いで見ると、茶色の瞳は優しく細められた。

「ああ、気持ちいいよ、ロシェ。そのままだ……」

許可をもらい喜びとともに続ければ、父の腰が反応し始める。息が荒くなり、腹筋も微かに震え出す。

「ロシェ、待て……もう、いいぞ」

僕は口を一旦離して父に「出していいよ」って言った。当然父は首を横に振る。でも僕は今回は引かなかった。

「やだ、お父さんの飲みたいの。お願い、出して……」

舌を見せたまま、父のおちんちんの先っぽを舐めて誘った。全部僕が欲しくなっていた。父の体も、このぺニスも、出すものもすべて。

「……っく、ああ……っ……ロシェ……だめだ、って………ああっ、出すぞ……ッ」

大きく跳ねるぺニスは僕の口内で液をいっぱい吐き出し、みるみるうちに満たしていく。その量に僕はびっくりし、一瞬固まりそうになった。

しかし、父の眼前で男を見せるときだと、頑張って涙目になりながらごくんと飲み干す。
ものすごい味だった。こんなのお父さん、飲んでくれてたんだ。

「……っぅうっ……飲んだぁ……」

口を拭って呟いた。すると父は、脱力したのか床に両膝をがくんとつく。

「……ロシェ」

低い位置から劣情ににじむ赤い目元で見つめてきた後、僕の膝を、突然手でがしっと開いた。
そのまま父の顔がなんと僕の股間に埋められる。

「ひゃああっ! なに、やだあっお父さん!」

口で噛んでズボンを下ろされ、下着の中から無理矢理おちんちんを暴かれる。父は何も言わずに興奮しきった様子で、それをくわえてしまった。

「あっ、あんっ、やあっ、だめえっ、やだぁっ」

濡れた口の中に包まれて、今度は自分がフェラチオをされる番になってしまった。揺れる腰を太い腕にがっしりと固定され、思う存分しゃぶられる。

「だめっ、だめっ、お父さんっ」
「駄目じゃないだろ? やらしく勃ってるよお前の、舐めて感じちゃったか?」

合間に話しかけてきて顔が一気に熱くなる。ベッドに座る太ももの間で、床にひざまずき頭を動かすお父さん。こんなことをしちゃったら僕はもう、腰をがくがくさせて、いっぱい出すのを止められなくなる。

「やあぁ! 出るっ、いくっ、イクっ、んあぁぁんっ……!」

父の頭を抱えて体を丸め、中に吐き出してしまった。
はあはあ息が続かなくなり、父がやっと僕のを離してくれる。

喉がごくりとしたのが見えたから、父も飲んでくれたんだ。
恥ずかしいけれど、イッたばかりで何も言えなかった。
すると、父が僕のことを押し倒してきて、熱いキスをされる。口の中を掃除されるように、全体を舐めとられ、綺麗に絡めとられた。

「んっんん」

苦しくなるほどのキスで、僕は父の腕を強く掴む。
嬉しいけれど体の熱がまだまだ引かず、違う想像をしてしまいそうだったからだ。

「はぁ……はあ……ロシェ……まだ足りん」
「……ええっ、駄目だってばお父さんっ」
「なんで駄目なんだ、早く俺に、お前をくれ」

なぜか強情な父の腕に抱かれて、せがまれた。そんなこと言っても、今は我慢しないといけないのに。
僕だってもっともっと欲しくなる、こんなことしたら。

その夜はかえって二人の熱に火がついたような気がしてしまったが、僕らはなんとか事を納めることが出来た。
眠るときも少しだけ離れて、寂しげな横顔を慰めながら、うつぶせになった父と手をつないで眠った。



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