140字SSまとめ | ナノ

140字SSまとめ




 140字ssとは
140字ss【ひゃくよんじゅうじえすえす】

Twitter上でつづる、140字以内の小さなお話。


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2018/12/31 


 僕らは見えない未来を探す
明日のことなんか分かるわけないでしょう、と青年は笑った。細い涙が一筋頬を伝って消えた。1分、いや1秒だって、未来のことなど誰も分からないのですから。未来予想図なんてとんでもない、僕らの歩く道はいつだって真っ暗ででこぼこで、その上ちくちくとトゲが生えてるんです。やってられませんよ。僕らが何をしたっていうんです。前はきちんと向いて来ました。自己分析というものもやりましたよ。けれどね、それは別に未来を見ているわけじゃない。そんなものは、まやかしです。一寸先は闇です。誰だって手探りです。思い描いた未来をその通り手に入れた人がいるんだったら、それはきっと少し先を予測してみせただけなんです。見えてはないんです。だって、僕が子どもの頃にこんな未来が見えていたら、僕はもっと楽で幸福な退路を模索しましたよ。未来なんてね、糞食らえです。罵られる筋合いも、嘆かれる筋合いも、同情される筋合いもありません。見えないものに、感情的になってどうするんだ。僕らは一生懸命やってるんだ。悪いことなんてしてない。僕の苦労知らずな手は傷だらけです。インク色の血がだらだらと流れていきます。僕の未来があるのならば、きっと数多くの履歴書の墓守でしょう。さようなら、誰も眺めない、未来のための書簡たち。僕は忘れない。そして知っている。

(130125,#twnovel)


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2014/01/26 


 履歴書
私の価値をお教えしましょう。紙切れ一枚と少しの面接。どうです、安いもんでしょう。丁度それくらいの価値があります。時給をはずんでくれるなら、こいつに勤勉というおまけを付けて差し上げましょう。何、いらない。そうですか。ならば他をあたりましょう。この社会は底が浅いから、きっと大丈夫。

(140125)


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2014/01/26 


 白々と泣く
人魚はさめざめと涙を流した。コツン、と音を立てて涙は床に転がった。つるりとしたそれを拾い上げて嚥下する。ごめんなさい、と僕は少年のように心の中で叫んだ。君を愛しているけれど、君を傷つけなくては僕は僕でなくなるのだから。なんと傲慢。それでも僕は僕を嫌いになれない。浅ましい人生です。

(140122)


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2014/01/26 


 惰眠
目が覚めた。ぬるい朝日が泥のように眼玉へと流れ込み、目蓋がゆっくりと接着される。起きなくてはならないのに、するすると緞帳が降りてくる。起きよう。いや、眠い。羽毛布団の柔らかさはまるで淑女のようにいじらしく、私を快楽へと引き止めてやまない。しかし、私はこれを克服せねば。――起きた。

(131229)


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2014/01/26 


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