極端過ぎるのでは、と思う。
「シャワー、終わったから次いいよ」
「あ、うん」
野外は嫌だと呟いたら何も言わずに連れてこられた小洒落たホテル。フロア数も質もお値段も最高なのにどうやってなどという疑問はきっと不粋なのだろう。
タオルドライした髪の冷たさが背中に張り付く。どうせ、すぐに火照るだろうに。
「……ぁ、……っふ」
「──髪、俺とおんなじ匂いがする」
意味もなく空を掻いた手が捕らえられ、シーツに縫い留められる。指の間を通って波打つ白に突き立つ男性的な指はさながら楔のよう。
「ひとつになった感じがする。ココみたいに」
「っあ!! や、深……っ」
「ね、悦い……?」
「し、知らな……や、ぁッ!」
普段より少しだけ饒舌な唇は嗜虐趣味なのか興奮しているのか。
「俺は、さ…──悦いよ」
…単なる照れ隠しだったら、嬉しいのだけれど。
「レッ……キス、欲し…」
余裕のない性急なキス。もうキスとも言えない。噛み付くような、或いは貪るような行為。混じる、唾液。
「……っん、あ」
「…………はっ、」
鋭く吐き出される呼気、喉の奥で乾いた音を鳴らす。レッドの喉を通ったそれにくらりと覚えた感情は嫉妬だった。
だってそうでしょう?それがなければ彼は生きていけない。
だから、ね。
私の分の酸素も全部あげる。
生者の狂乱
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だって私は貴方の吐いた吐息だけで生きていけるもの。