シルバーとはそれなりに長い付き合いになる。
月日を感じさせるのは抜かされた身長だとか重ねた手の指の長さだとかそんな可愛いものではなくて。


「……っは、」


キスの後に一瞬見える、鋭い眼光なのだ。


「悪い…歯止めが効かなくて」

「ううん、構わないわ」


瞬きの間にそれは消え失せて私の良く知るシルバーに戻る。
知り合った頃は互いに子供で、付き合い出した頃は私だけが大人の余裕を持っていた。頼り甲斐よりも愛らしさを感じさせる年下の恋人は手を繋ぐだけで赤面していたというのに。


「───、」


今はもう見上げるしかない端整な顔。艶やかな赤い髪から覗く銀の瞳は少年の眼差しから間もなく男のそれに変わるのだろう。
そうすれば、彼はきっと私を支配する。
支配して、貪って。男ってそういう生き物でしょう?


「名前、」

「っ、……ふ…」


噛み付いてくる、唇。
次第に長くなっていく口付けにも私の身体を舐めるように滑る自分の手のひらにも貴方は気付いていない。




「   」





彼がそれに気付いたときはそうね───それが私の命日になるんだわ。



手向けの花は何色かしら





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綺麗に、手折って。
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