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『たっだいまー!』

「おかえりー。もう夕食は出来てるからね」

『はーい』


バタバタと慌ただしく玄関から部屋に入ってバックを置くと、冷めないうちにと制服を着替えずにリビングに滑り込む。既に食卓にはお姉ちゃんとお兄ちゃんがスタンバイしていて、熱そうな湯気を漂わせるメインの林檎おろし入り豚肉の生姜焼きにも出迎えられて、逸る気持ちを抑えて三人分のご飯をよそう。(お姉ちゃんは少なめ、お兄ちゃんは気持ち多め、私は二人の中間!)
私が席について、三人同時にいただきます!


「うん、流石はウチの次期料理長!」

『お兄ちゃんの料理をお店に出したら、絶っ対人気が出るよね』

「お、ありがとな。特に風音は食べっぷりもいいし、作りがいがある」

「あまり作り過ぎないでよ?風音ったら際限なく食べるから」

『失礼な!』


むっとしてお姉ちゃんにツッコむと二人が笑って、つられて私も笑う。
いつも我が家の団欒は笑顔で溢れていて楽しい。

私達は親元を離れて都心に三人暮らし。
六年前にお姉ちゃんが都心の医大に進学することになり、お兄ちゃんは都内の私立高校に入学を予定していた。
当時は地元から通うにはちょっと厳しかった距離。(その頃は実家から最寄り駅までバスで三十分、そこから電車で二時間半。)(今は新しい駅が徒歩五分の所に出来たけどね。)二人は地元を離れて暮らすことになり、丁度中学校入学の時期だった私はそれに便乗した。

両親は「風音の好きなようにしていいよ、色んな所を見ておいで」って言ってくれたから、凄く恵まれていた親の下に産まれたと思う。
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