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「コムイ貴様何故新藤の発作の前兆があったことを早く俺様に伝えなかった!?しかも“関係者”以外に彼女を発見させるなど…ッ誰にバレた!」

喧しく司令室に乗り込んできたのはアジア支部長のバク・チャンであった。彼はここに来るまでに腹で煮ていたのであろう言葉を一度吐き出すと、コムイを睨み付ける。
その彼を黙ったまま見つめていたコムイは視線をそっと横にずらした。
それを追って勢いよく振り返った先にいた黒髪の青年を見た瞬間、バクの怒りの表情は驚愕へと変わる。

「ま、まさか…」
「月精ちゃんを発見してくれたのは神田君だ。もしバク支部長にかかっている力が弱まっているなら、逆らえるところまででいい。彼女のことを彼と僕に話してくれないか」
「っ…」

「いいのか?比較的一緒にいられるエクソシストなどには君の体のことを知っている者がいた方がいいんじゃないか?」
『必要無い。知ったとしてそいつには何も出来ない。それにエクソシストである私がこのような状態にあるなど、周りへの不安要素にしか成りえないからな』
「だが…」
『それに、』
「それに?」
『アイツには…神田にだけは、知られたくないんだ』


脳裏に蘇る泣きそうな顔をした幼い彼女の願いは、叶わなかった。今、自分がここで発した言葉で決定打を与えてしまったから。
彼女に謝罪して済ませることも彼に引き下がってもらうことも最早出来ない。

「(すまない、新藤…)」

だがもし自分の知っていることの全てを伝えて、少しでも彼女の未来が変わるのなら…。

「…分かった。僕が知っていること、全て」

“神田”という希望にかけて

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