48


『コムイ、今バクと連絡は取れないか?』
「少し待ってくれるかい?そこのソファーに掛けていて」

決裁を終えた書類の山をフェイ補佐官に渡すと、脇に控えていた受話器を取ってダイヤルを回し始めた。
その様子を見ながら月精は無表情のまま視線を落として背もたれに寄り掛かる。
暫くしてアジア支部と繋がったのだろう、コムイはいくつか言葉を交わすと受話器を置いた。

「バク支部長は今支部内の会議で忙しいらしい。明日の七時前後なら予定が空いているからその頃には会えるそうだよ」
『そうか、それならその頃合にアジア支部に行って来る』
「分かった。今までみたいに長期連投任務扱いにしておくよ」
『あぁ』

立ち上がり少しふらついた月精をフェイが支え、大丈夫だと言って背を向けた彼女を呼び止める。

「すまない、何もしてあげられなくて…」
『別に。お前は何も悪くない』

振り返らずそう告げる月精の背はひどく小さく見えた。
司令室から気配が遠ざかっていくのを感じながらコムイは拳を握り締める。
それを静かに見ていたフェイ。

「…泣いたようでしたね」
「っ…僕は手がかりすら掴めないのか…!」

淡く赤みを帯びた瞳が己を責め立てた。

<< >> The Diva of submission
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -