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コツコツと灯りの燈る廊下に響く二人分のブーツの音。ほとんどの者が会に参加しているらしく、人影がほとんど無い。 連れて来られたのは神田の部屋の前。そうは言っても、自室はこの奥だから通り掛かったという方が正しいのかもしれない。そう思ったのも束の間、くいっと腕を引かれる。 『え?』 視界が暗転し、身体の向きが変えられて重心が後ろに傾く。既に身体はベッドに沈んでいた。 部屋に引き込まれただけならば、まだいい。 『退け』 「…」 『…まさか』 (男の部屋で一晩明かしたくないんだが…) 簡素なベッドに押し倒され、上に乗った男の抱擁と重みで身動きが全く出来ない。 耳元では酒臭い穏やかな寝息。 (…まぁいいか。こいつも手は出さないだろう) 多少息苦しいが、心地よい体温に甘える。報告書を床に放って手探りで毛布を手繰り寄せると、神田の体に掛け、そのまま意識を手放した。 翌朝 昨夜のことは一切記憶していなかった神田の慌てた気配で目を覚ますことになる。 |
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