それからと言うものの、私へのいじめは酷くなる一方だった。

でも、愛美の態度は変わらない。


「渚〜!!」


愛美はいつものように私に抱き付いてきてくれた。


「愛美…ど、どうしたの?」


いつも通りの愛美のはずなのに、私は自然と固くなってしまう。


「あのね!渚に話があったの!」

「話?何??」


えーっとね〜と、愛美は可愛く考え始め、口を開いた。


「渚〜あのね…」


゙わたし、幸村君のこと好きになっちゃった!゙

えっ?と、私は思わず聞き返してしまった。


「愛美…冗談…だよね?」


「冗談じゃないよ」


その刹那、愛美の表情が一変した。
そして、愛美は再びいつもと同じ笑みを浮かべる。


「だからね、渚には〜幸村君と別れて欲しいんだ!」

「え…?」


嬉々とした表情のまま、愛美は私を見つめる。


「渚、お願い聞いてくれるよね?」

「どうして?…だって愛美は…」

「渚ってさ、本当に鈍いよね〜」


愛美は少しずつ私に近づいてきた。


「私…幸村君が好きだったの…ずっと、渚が幸村君と付き合う前からずっと…ね」


恐い。
この時、初めて愛美のことを恐いと思った。


「だから、ね!」


お願いっ!と、愛美は私に頼んできた。

私には、答えることが…出来なかった…





恐怖







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