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いつもと変わらない朝…
でも、一つだけ変わっていたことがある。
それは…
「…ない」
私は自分のロッカーや机の中を隅々まで探した。
「?渚、何がないの?」
「…教科書…」
えっ!?と、精市は驚きの表情を浮かべていた。
次第に、クラスの皆が探し始めてくれたが、さっぱり、見つからない。
「どこ〜?」
「渚〜!」
誰かが、私の後ろから抱き付いてきた。
「ま、愛美!」
「渚、どうしたの?」
「あ〜教科書探してて…」
「私…見たよ!渚の教科書!」
それだけ言うと、愛美は案内するように私の手を握り、教科書の場所まで引っ張って行った。
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「何…これ…」
目の前に広がっているのは、無惨に切り刻まれたり、落書きがされている私の教科書。
「ひど〜いっ!!何で渚の教科書がっ!?」
「私にも…何が何だか…」
静かに、教科書を拾いあげる。
見るからに、もう使えそうにない。
「渚!気にしちゃダメだよ!」
「うん…教えてくれてありがとね愛美…」
「どういたしまして!」と愛美は微笑んだ。
「渚…酷いなこれ…」
ハッとして後ろを見つめるとそこには、精市の姿があった。
「精市…」
「…大丈夫だよ。渚には、俺がついているからね」
ポンポンと精市の手が頭に触れるのを感じた。
「ありがとう…精っ!?」
刹那、愛美の表情が憎しみの色を浮かべていたのを、私はみてしまった…
この時、初めて気付いた。
愛美は精市のことが好きなんだって…
そして、この教科書のことも愛美がしたのではないかと、私は疑ってしまった…
疑イ