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仕事を終えた俺を待っていたのは、細いチューブのようなものが何本も繋がれている渚の姿と、岬愛美だった。
「精市君!来てくれたの?」
「愛美…渚には、手を出さない約束だったよね?」
「私は何もしてないよ〜」
親友が自殺したと言うのに、愛美は、ニコニコと笑みを浮かべている。
「渚が、勝手に死んじゃったんだよ!」
「渚は…まだ死んでない。」
その言葉に愛美は怒りを覚えたらしく自分の親指の爪をギリッと噛んだ。
「そんなに渚が大事?渚のどこがいいのよっ!!!」
俺は愛美を無視して、ギュッと渚の手を握る。
しばらくすると、愛美は病室から出ていった。
二人っきりの病室には、単調な機械音が響いている。
「渚…」
俺は渚の手を握りながら、ゆっくりと目を閉じた。