雪に染まる紅
クリスマスは彼氏と過ごしたいって思うのが、普通の女の子の考え方だと思う。
今年で成人になったわたしだってそう。でも、肝心の相手がいないんじゃあ話にもならない。今日だって、他の広報の方々は休暇を取ったにも関わらず、わたしは仕事をしてたし、友達とクリスマスパーティーでもしようかと考えれば、彼氏と過ごすんだ〜なんてノロケられる始末。
何だか、自分で自分が可哀想になる。
(今ごろ、皆楽しんでるんだろうな…)
ただ寒いだけの外を一人寂しく歩く。
いつもはまだ練習しているはずのETU専用グランドも今日は達海監督の意向でクリスマスパーティーを開くらしく、誰一人選手は居ない。
「…あれ?」
グランド脇の街灯の下に人影が見えた。
「…椿…君?」
もしかしたらと思い、名前を呼べば、その人は振り向いて、こっちに走って来た。
「あ、名前さん!仕事お疲れっす」
「何で此処に?クリスマスパーティーに行ったんじゃ…」
そう問いかければ、何故か椿くんは「あ、えと、そのー」なんてまたいつもみたいにうろたえ始めた。
「そ、そんなにうろたえなくても」
「えっ!オレ、そんなにうろたえてますか?」
「うん、けっこうね…あ、」
頬に、冷たいものを感じた。
ゆっくりと上を見上げれば、雪が降り始めていた。
「椿くん、雪。雪だよ!」
「本当ッスね、ホワイトクリスマス…ですかね?」
「そうだね。あ、椿くん、クリスマスパーティーは?」
「あ……もういいんスよ」
「え?でも…」
「だ、だって…オレは…」
しばらく、椿くんはそのままだった。
何か言いたそうにしていて、わたしはそれを待った。
「オレは、本当は名前さんと一緒にクリスマスを過ごしたかったから…」
そういい終わった後、椿くんは顔を赤くさせていた。
そんな彼を見ながら、「わたしもだよ」と呟けば、彼は益々、顔を赤くさせたのは言うまでもない。
雪に染まる紅
(顔の頬は、雪の中でも、紅く染まっていた)
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椿君のクリスマス雪\^^/
たいぶ過ぎたような感じが…
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