夢であれ








昔から、幼なじみの大介はわたしが守ってあげないとダメだった。
わたしだって、それが当たり前だと思ってたし、そんな関係が続くんだって思ってた。



「そーいえば、バッキーと名前ちゃんって、付き合ってるの?」


目の前にいる王子ことジーノさんは平然とした表情でわたしと大介に問いかけてきた。
隣にいる大介は飲んでいた麦茶を勢いよく吹き出した。
汚いなぁ…


「お、お、お、王子っ!?な、何をいきなり!」

「だって、バッキー達いつも一緒じゃない」

「そ、そうですけど…」

「違いますよ。ただの幼なじみです。」


キッパリとそう言えば、何故か隣の大介は固まっていた。


「だいたい、大介は弟みたいなものです。わたしはどっちかと言うと、肉食系が好みです!」

「ハハッそう…それじゃあバッキー、頑張ってね」


爽やかさを残しながら、ジーノさんはどこかに行ってしまった。


「ジーノさん、いきなりあんなこと聞いてきてどうしたんだろうね?」

「名前はさ…」

「?…大介?」


気が付けば、大介は目の前にいた。
その顔はいつもの大介の顔じゃなくて、正直恐かった。


「名前は…オレみたいなヤツよりも、肉食系の方がいいんだろ?」

「な、何言ってんの?」


話をしている間に大介はジワジワと歩みよってくる。
わたしはあとず去ることしか出来なくて、後ろには既に壁があった。


「オレ…かわるから」

「何言って…っ!」


その刹那、わたしの唇は大介によって塞がれていた。
離れた瞬間、本気で殴りたくなった。というか、本気で殴りかかった。
だが、その拳は大介の手によってあっさり止められてしまった。


「な、何すんのよっ!」

「いや、名前は小さい時から、こっちの方が好きかなって思ったんだけど…今日からこれでいくから」


呆然としているわたしの唇を大介はもう一度塞いだ。
今度は触れるくらいの優しいキス。
この時初めて、今日という日がどれだけ夢であってほしいか実感した。









gift
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -