「そしてそのザマね」
「三好うるせえ」


普通に綺麗な顔立ちの高尾の頬にガーゼが一つ、下にある三本の赤線を想像して思わず眉間に皺を寄せた。


「猫に愛されてないんだよお前…」
「うっせ!あの毛玉が生意気なんだよ!!」
「二号に失礼よ」
「三好お前毛玉に優しくね…?」
「優しくないわ、アンタよりは好きなだけよ」
「ちくしょ…」


あーあ、二号に愛されない高尾かわいそ、名付けたのが俺だからか二号は俺にはよく懐く、門田さんは言わずもがな、あと結城さんと緑間にも懐いてる。三好さんは微妙、うん、高尾だ。

俺は直接二号にあう事は少ないし懐いてるからいいけど高尾は生傷が絶えてない。今までは足やら腕だったが今度は顔だ、イケメンが台無しである。俺は高尾をイケメンだと思った事はないけど。


「あの毛玉…!!」
「まず毛玉っていってやるなよ、あいつには俺がつけた和成二号って名前があるんだから」
「そうよ、二号って呼んでやりなさい、あと雫と鶴乃は何をしてるのよ遅い」
「そう苛つくなよ三好さん」


そういえば、俺と高尾と三好さんの組み合わせは珍しい、それも門田さんと結城さんは委員会にいってしまったからだけとも。


「俺達って猫の話しかできないのか」
「島田一発芸」
「三好さん無茶ぶりはやめて」
「猫って玉ねぎの臭いとかもだめかな?」
「高尾、姑息な手を猫に使うのやめろ」
「大人気ないわね」
「お前らに彼女を猫に奪われる苦しみがわかるか!!」
「少なくとも玉ねぎの臭いがする男とは付き合いたくないわ」


ナイスツッコミ三好さん、彼女いない俺のかわりにツッコんでくれてありがとう!!
何はともあれ高尾と猫の戦いはまだまだ続きそうである、やれやれ…


「おい高尾和成!!」


バゴンというけたたましい音と共に怒鳴り声が響く、がやついた昼休みの教室が静まり返り、何事かと音がした方向…扉に目をむけたら息を切らした結城さんが扉の淵を握り締めていた。


「え、なに」
「あ、大声、ごめん、でもかっずー、早く来て」


額汗を滲ませて少し泣きそうな顔の結城さんが高尾の肩を揺すった。


「落ち着きなさい鶴乃、どうしたの」
「そうそう結城さん、深呼吸」
「美亜、島田、あ、あのね」


理解ができてない高尾を揺する結城さんの不安気な目が俺と三好さん映す。


「今保健室で、雫、倒れたの、どうしよう」


そう結城さんが言い終わる前に高尾は立ち上がり走り出していた。


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