「っべーっべーわー全くわかんねーよ。大学いかずに働きてー」
「田中働くん好きやなー、頭は働かん癖に」
「やーん今吉くぅんたらぁーひどぉーい!!……まじわからん」


冷静になり問題集に目を通してみてもわからんものはわからん。おちゃらけてもわからんものはわからんのだ、決めた!私マジパの定員になる!


「マジパの定員になる前に卒業しよなーほんまその頭なら卒業できんぞ」
「嘘ん、そこまで阿呆じゃないわ、一応卒業はできるわ、あと心読むな」
「sundayをsaudayって書いた癖に」
「それはあれ、ケアレ・スミスだから」
「ケアレスミスな、阿呆」


畜生自分が頭いいからってこの妖怪サトリ「口に出しとるで」まじか。
まあこの腹黒糸目は間違いなく志望校にいけるだろうよ、学年トップだし、たまーにテストで寝てる癖に。これだから妖怪サトリは「おい」すいませんて。


「あーもういやだおー」
「問題問いといたらそのうち覚えるわ」
「へっへー、私は今吉みたいに頭良いわけじゃないんですぅー」
「努力しいひんだけや阿呆」
「あ、すみません」


冷静に突っ込まれて少しびっくりした、うん努力してないんだよな。
多分、私は志望校にはいけない、今吉のいく大学ははじめから志望していないが、それより一つ二つランク下げても厳しいだろう。


「こういう時ってさ、彼氏とかが、俺の嫁になればいいじゃんっていう台詞だよね」
「せやな、言わへんで」
「うん」


今吉と付き合って二年、長いようで短いそんな二年を今吉と付き合ってきた、でも、潮時という奴か、最近はかなり冷たい今吉にそう思う。
今吉が好きだ、まだ恋人でいたいとそう思う。限界があるという事は知っていたからけじめはあった。


「星子」


涙が出そうになった、今吉が私の名前をいう時は、夜か大事な話の時だけだから。
へらりと笑って手を握る、少ししか解けていない問題集を濡らさない様に私は必死になってきた。


「なに?」
「お前と付き合って二年、お前の阿呆さに呆れて三年や、定期テストがあるたびワシに頼ってくるもんやからお前の阿呆さ加減はワシが一番知っとる」
「う、うん?」


あん?話が拗れてきた、別れ話ではない、そんな雰囲気が私を包む、じゃあ一体なんだってんだ?


「お前が大学に落ちたら働け、ワシがお前を養える様になったら指輪買うたる」


つまりそれはプロポーズだったのだ、私の問題集は残念ながら濡れてしまった。