朝、携帯のアラームで私は目覚める。
不必要に鳴る携帯を片手で止めいやいや起きる。はっきりいって眠い。眠くて眠くて死にそうだ。
本当に死ぬわけではないので布団から這い出る。お母さんの声がうっすら聞こえていて本当に朝だと実感した。

洗面台で顔を乱暴に洗い、リビングに入ると、食パンとジャムが用意されている。ちなみに私は朝はご飯派だ。が、勿論私が朝食について反論できるわけないので食パンにいちごのジャムを塗りたくる。きつね色に焦げた食パンが鮮やかに赤に染まっていく。よし、綺麗に塗れた。


『……犯人は未だ逃亡中のようです』


凶悪な殺人犯にさっさと捕まれと呪いをかけ食パンにかぶりつく。口の端にいちごジャムがつき不愉快だ。口の端ってなんか気持ち悪いんだよね。


『……続いて、スポーツ一面です』


ティッシュに手を伸ばせばお母さんが私とティッシュの幅を狭める。ありがとうといって口を拭き、またかぶりつく。よし、今度はつかなかった。
サクサクと食パンを食べ進めていたらあっという間にその時間がくる。食パンを皿の上に置き、テレビに集中する。聞き逃すと私の命に関わる話になる。


『今日のおは朝占ーい!!』
「相変わらずテンションたっけー…」


朝からこんな高い声だしてよく一日いれるよな、尊敬したくなる。いやしないけど。
星座をモチーフにしたあまり可愛いとはいえない妖精みたいなのがふよふよと浮く、本当、毎日よくこんな事をする。


『一位は蟹座の貴方!!運命的な出会いが待ってるかも?昔の知り合いがいたら必ず声をかけてみて!!ラッキーアイテムはトリケラトプスのぬいぐるみ!!』


おは朝は本当に意味わからん。トリケラトプスのぬいぐるみとかみた事ねーぞ、マイナーすぎんだろ、誰がそんなもん持ち歩くんだ……まあ私もそのアイテムがきたら持ち歩くけどね、だって死にたくない、まだ生きたい。
もっと最後かと思いきや、いきなり私の星座が呼ばれる、ラッキー

『二位の牡牛座の貴方。恋愛運絶好調!!初恋の人に会えるかも!!ラッキーアイテムは水のり!!』


水のり、これまた微妙で面白味がないものがきたものだ。水のりは嫌いだ、のり系で一番使いにくいから嫌いだ。ちなみに私はスティックのりが一番使いやすい。

縦に長い水のりをカーディガンをつっこむ、中で溢れないようにきつく締めておいたから大丈夫だと思う。

それにしても恋愛運絶好調なんて嘘じゃないだろうな、嘘なら呪う。初恋のあの人にあえなきゃ呪ってやる…


「いってきまーす」


お分かりいただけただろうか、私は朝の番組、“おは朝”を神聖視するただの女子中学生だ。



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