・ルカメイ
・ツンデレメイコ
・無駄に余裕っぽいルカ
「おかえりなさい」
「ごはんにする?お風呂にする?それとも…私にする?」
あぁ、やっぱり恥ずかしい…この台詞。
笑って逃げるという手もあったかもしれない、けど。
最近ルカと話せていない。勿論一緒に住んではいるから顔を合わせることがないわけではないのだけれど。仕事の時間が違い、あまり話す機会がなかった。だからせっかく時間が合った今日、久しぶりに。
少し甘えたい、なんて。忙しくしているから疲れているかもしれない…どうしよう、もしかして鬱陶しかったかしら。
恥ずかしさから軽くに下を向いていたため視線だけで何も言わないルカの表情を伺うと、何か堪えているかのような表情のルカと見つめ合う形になった。ルカの視線はどこか熱っぽいもので、恥ずかしさが舞い戻ってきたように頬が熱くなる。
「メイコ、さん…」
「な、何?」
声が上擦る。何故こんなに緊張しているのだろうか、初めて誘うわけでもないのに。
「それはつまり野菜プレ」
「ごめんさっきのなかったことにしてくれる?」
そうだ、ルカはこうゆう奴だった。髪の毛だけじゃなくて思考回路もピンク色だった。
一瞬でも甘い期待をした自分に嫌気がさして、キッチンへと戻るため踵を返した。
「メイコさん」
妙に優しげな声で名前を呼ばれ、足を止める。でも振り返ることはしなかった。
何よ、別にへこんでなんかないわよ。だからそんな声で呼ばないで頂戴。
ゆっくりと近づいてくるルカに振り返ることができないまま、リビングへの扉の前で立ち止まっていた。
「メイコさん」
腰に腕が回され、後ろから緩く抱きしめられた。不意に左耳へとルカの吐息がかかり自然と身体が強張る。
それに気付いたのか、小さくクスリと耳元で笑ったルカに少しムッとなる。
「…何よ、私今から」
「メイコさんは」
夕御飯の続きを作るんだから、と続くはずだった私の口実を遮断してルカは続けた。
「ごはんになさいますか?お風呂になさいますか?それとも…私になさいますか?」
最後の選択肢だけ低く、囁いて。
「そんなの…」
聞かなくたって、わかってる癖に。
緩く結ばれた両腕の中で反転して、ムカつくその顔にキスをした。