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先にシャワーを浴びた後、ベッドの縁に座りテレビを観て待っていたようだった。最近の大学生は隙あらばスマホを覗き込んでいるものだと思い込んでいたので、例えスマホがテレビに変わっただけであっても些か新鮮だった。

彼もひょっとしたら私がシャワーを浴びて出てくる気配を感じてスマホをしまっただけかもしれないが、それでもこちらにお構い無しでいられるより随分ましだ。

部屋の照明は暗めに落とされていて、テレビが発する光だけが彼の姿を無機質に浮かび上がらせている。

ボクサーパンツ1枚の出で立ちでぼんやりと片膝を立て、ラグビーだったかアメフトだったか、スポーツをやっていると言っていた通り、日焼けの後がくっきりと残る筋肉を惜しげもなく晒している。律儀にバスローブを着ている自分がすこし馬鹿らしくなった。

さてなんと声を掛けようかとそろそろと近づく。元々社交的な方ではない。「さあ始めましょうか」という意思をスマートに伝えられたことはない気がする。

すると気配を察した彼がちらりとこちらをむき、緊張した様子もなく少し笑みをみせた。出会った時は彼も口数の少ない方だと思ったが、人懐っこさがあるという点で私と正反対だと思った。体格のわりに少し小柄なことも人が彼に気安くする要因なのだろう。リモコンでテレビの音量をミュートにし、画面は明るいまま立ち上がった。

そのまま何も言わず近づき、唇を重ね合う。余分な会話を煩わしいと思ったことを見透かされているようで、その時点で一回り以上年の離れた若者にリードされることを受け入れざるを得ないのだった。

立ったままの状態でスルスルと脱がされていく。両手を抜く直前に重ねられた唇がクスリと笑ったかと思えば、バスローブの腰ひもで後ろ手に縫い留められていた。

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