ver.chocolate 虎

バレンタイン企画短編集
1/14(bad valentine chocolate)


はい、あーん。
あーんって言ってるだろ。
ん?彼氏の言う事が聞けないのか?
仕方ねぇな。

「口開けろ」

無理やり、彼女の口を開けさせる。
彼女の目は恐怖に染まっていたが、俺はそんなこと気にしない。
彼女の口に、チョコレートを入れた。
そのまま口を閉じ、咀嚼し飲み込むのを確認してから彼女の口から手を離した。
「…………美味しいだろ?」
「…はっ………はぁっ…虎…、虎徹………」
彼女は倒れた。
まあそりゃあそうだろ。さっき食わせたチョコレートには毒が入ってたからな。
人を殺したり、麻痺させるような毒じゃない。

記憶を塗り替える毒だ。


彼女が次に目覚めるときには、今までの記憶を覚えてないだろう。
バーナビーという名の恋人のことも。全て忘れているだろう。

そして俺が全て塗り替える。

彼女の恋人は俺で。
彼女が好きなのは俺で。
彼女にとっての世界は俺だ。



手にしているチョコレートの箱を見ながら俺は呟いた。

「これが俺からのバレンタインチョコレートだ」




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