「すまんなレイ君、今日は非番でも無く完全に休日だったというのに」

「いえ、目の前で起きてしまったんですから……」

運が悪い、としか言いようが無い。
たまたま買い物に少し大型のスーパーに来ていたら、すぐ近くで悲鳴が上がったのだ。

本当に、すぐの所。
男がナイフを持っていたのだ。

一人の女性が腕を切られ座り込んでいて、次の標的の男の人を掴んでナイフを振り下ろそうとしていた。

まずい、と走りだし、男を蹴り飛ばした。
……少し力を入れ過ぎたが、結果的に気絶してそれ以上の被害は出なかったという事にしておこう。

「……腕以外に傷は」

「だ、大丈夫です」

他に怪我した方はいらっしゃいませんか、と呼びかける。
誰も出なかったので、ケータイを取り出してまずは119を押した。

「救急です。
けが人は1名、女性で腕に切り傷。
場所は……」

その後の犯人の拘束や協力者による手当など、順調に進んでいった。
2人目の被害者になりかけた男性は掴まれただけで済み、怪我は無かったそう。

「痛みは、どうです?」

「あ、いえ、ちょっと……」

「ちょっと失礼、止血しますので腕を心臓より高く」

ハンカチを当て、腕に手を添えて持ち上げる。
傷は手首より10センチ程下のところ。
手の甲側で良かった、反対側だったら血管がやられていた可能性がある。

「……このくらいの傷なら、ちゃんと処置すれば消えますよ」

「そ、そっかぁ……!
良かったぁ」

「傷は残したくないでしょうから。良かったですね。
……あ、警部」

「レイ君!犯人は」

「そこに転がしてあります。
力余って気絶させちゃったんで」

「……またかね君は。
始末書だぞ」

「承知の上ですよ。
仕事なので、失礼します」

救急車が来たらご案内します、というと頷いてくれた。
良かった、混乱したりは無いみたいだ。

「レイさん!」

「アルミン?……エレン、ミカサも?
おい、お前らまさか巻き込まれてねぇだろうな」

「けっこう近くに居たから危なかったけど、レイさんが殺ってくれたんでしょう?」

「レイさん大丈夫?あいつに触って汚れてない?」

ミカサが服の上から確かめるように腕を触っている。
いや大丈夫だが、と返すが何か納得していないらしく、最終的には抱きついて来た。
仕方ないか、と撫でて放置することにした。













(ミカサ、なにしてるの……?)

(牽制)

(あぁ、うん……そう…………)





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