「江戸川コナン、お前は何者なんだ?」

「え?そ、それって、どういう……?」

「……ふ、一から全て話したほうがいいか?」

言われた意味がわからなかった。
この、一人の刑事に言われた言葉の意味が。

青く澄んだ目が俺を捉えて離さない。
見透かされそうな恐怖心さえ湧いてくる。

「……何者なんだろうな、毛利探偵を影から操る操り人は?」

なぁ、江戸川コナン。

絶句した。
ばれている。
何故。
どうするべきか。
レイ刑事はあちら側なのか。

一気に頭がキャパシティオーバーする。
まずい。

「……随分と混乱している様だが、俺は何も、それを知って悪用したりするつもりは微塵も無いが」

「信用できるかっつーの……!
なんでわかった?」

「そうだな、俺は耳が良くてな。
……お前は何らかの方法で声を変えている様だが、人っていうのは呼吸のリズムや喋り方に癖があるんだ」

「……おいおい、それも聞き取れるってか?」

「そうだ」

断言しやがった刑事を見上げる。
敵意は感じない。
怪しくはあるが、嘘は言っていないと思う。

「まぁ、何もしないから」

そう言って頭を撫でられる。
不信感が残ってるのに触れるのは嫌だった。

「ガキ扱いするな」

「7歳なら十分ガキさ。
……記憶次第の所もあるがな?」

「記憶?なんの話してんだ」

「ん?記憶じゃないのか。
そうなら……縮んだか?」

縮んだ。
何でそれを。
そこまでは耳で判別出来るような物じゃない。
あからさまに動揺してしまったらしく、レイ刑事が少し笑った。

「わかりやすいなお前は。
そうか、縮んだのか……災難だな」

「さ、災難って」

なんつー軽い言い方……と少し呆れてしまう。
楽観してるとも言うか。
なんだこの人は。

「まぁ、人の事をべらべらい言う趣味は無いから安心しろ」

「……じゃなかったら記憶でも飛ばさないといけない所だぜ」

「それは恐ろしいな。……俺ばかりお前の事を知るのは不公平か。何か知りたいことはあるか?」

「……、……レイ刑事はどこまで知ってるの」

「君が何らかの理由で中身と外見が一致していない、というくらいだ」

「ほんとに?」

「嘘をついてどこに利がある?」

それもそうか。
とにかくこの人が秘密を守ってくれれば大丈夫だ。
そうなれば、……一応、取引材料を探しておいたほうが……。

「あ、悪いがリヴァイには言うぞ」

「はあっ!?なんで!?」

「情報共有は大切だろう」

さっきと言ってたことが違う!
誰にも言わないんじゃないの!?
そう思ったのがバレたのか、レイ刑事はまた笑みを深くした。

「リヴァイと俺はセットみたいなもの。隠し事はどんなことでもしたくないのさ。
俺らは口は固いから安心しろ」

「……えー……なんっだよそれ……」

「俺の秘密を、一つ教えてやろう。
外見はこんなだが、中身は還暦……いや、過ぎたか?どうだっけか」

そして最後に投下された爆弾。
嘘だろ、と思わずつぶやいた。

「か、還暦の意味知ってるレイ刑事?」

「60歳祝い」

「すごいざっくりした説明」







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