こちら、「噂話」の続きとなっております。










「なぁ、レイの奴……」

「……ああ」

「あいつ……」

今朝は何も無かった。
しかし、昼頃になってこちらに向かう視線が増えた。
やたらチラチラ見られると同時に、小声で何やら話しているのが耳に入る。
幾度か俺の名前も出てきている。
うぜぇ。

「何か用があるんなら直接言ってください」

「へ……?」

「な、なんだい?」

この状況に耐えられなくなり、とうとう声を上げてしまった。
こそこそ、と言う声がピタリとやむ。
睨みつけるかのように静かになった部屋を見渡すが、目が合うとすぐ逸らされてしまう。
もう引き返せないし、折角だからともう少し言ってやることにした。

「…………チラチラこそこそ鬱陶しいから何か用があんなら直に来いっつってんだ。
……俺、なんかしました?」

思った以上に低い声が出たから驚いた。
しまった、威圧をかけてしまっては理由が聞けないかもしれない。
と、思ったが後悔先に立たず。
皆誤魔化すかの様に苦笑を浮かべた。(誤魔化せてはいない)

「何も、ないよ?」

「あっはははは……」

「高木ー、今朝の資料だが、……なんだ、お前ら。
何かあったのか?」

「……いえ。すみません、少し外します」

目暮警部の介入に、いいタイミングだと抜けることにした。
一旦頭を冷やしたい。
思った以上に敏感に反応してしまっていたらしい。

「ダメだな、もっと冷静にならないと……」

出てしまった序でに資料を取りに行こうと資料室へと足を向けた。








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