思わず深く溜息を吐いた。
なんだって休暇中にまで事に巻き込まれなければならないというのか。
「……せっかく奮発してきたんだがな」
ちょっと良いとこの旅館に泊まり、日々激務に耐える体を癒やしていたというのに。
隣にいる少し小さめの相棒もうんざりとしていた。
「仕方ない、運が悪かったんだ……
気晴らしに酒でもどうだ?」
「おいおい、どういう風の吹き回しだ
お前から酒を勧めてくるなんて」
俺は基本、酒は好きだが強くない。
しかも悪酔いするときた。
いつもこの相棒自身が止めてくるというのに。
「こうでもしなきゃしらけちまうだろうが」
「まぁそれもそうか
お守り頼むぞ」
「嫌だな」
「あーっとお兄さん達、お楽しみになるのは構いませんが、調書を取ったあとでも??」
「……だってよ、酒は少しお預けだ
レイ」
「それは残念だ
折角の赤ワインだってのに」
「旅館に赤ワインってのも不釣り合いな気がしますがね。さぁさぁお一人ずつ来ていただきますよ」
刑事に催促され、仕方ないと重い腰を上げた二人だった。
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