「寝てるぞ、こいつら……」
「コナン君なんでレイ刑事の膝に?」
取り調べを終えて出てきた毛利親子は、廊下のベンチで座り眠る二人を目を丸くして見ていた。
続いて部屋から出てきた目暮警部達も驚く。
あの不眠のレイが寝てるなんて、と少しざわついた。
「不眠のレイって……?」
「徹夜での張り込み明けでも一切仮眠を取らず仕事続けるから、変なアダ名がついたのよ。
少し隈が出来るだけ、本当に何時もどおり仕事するから……」
レイ君が寝てるとこ、初めて見たわと零す佐藤にやっぱり謎の多い人だと蘭は笑った。
蘭はしゃがみ、二人を眺めてさらに笑みを深くした。
「どうしよう、すごく気持ちよさそうに寝てる」
起こすのが申し訳ないくらいだ、と居候の子とお世話になっている刑事を眺めた。
「だがこのままもいかんだろう、レイも仕事があるだろうからな。
いつまでもガキンチョに付き合わせる必要は無いさ」
「なんだ、この集まりは」
そこに通りかかったのは、相変わらず目付きの悪いリヴァイだった。
輪の中心に居る二人を見ると、小さく笑い声を漏らした。
「珍しいこともあるもんだ。
だが……起きろ」
「!」
声を落としていたわけではない毛利親子の声でも起きなかったレイがその一言で目が覚めた。
目を覚ますと同時に何処かに手を伸ばしかけて、やめた。
「……リヴァイか。
その起こし方はどうにかならないか」
「こんな所で無防備に寝てる奴が悪い。
まぁ、ちゃんと反応できたなら及第点だ」
「ったく……ん?」
皆様お揃いで、何してらっしゃるんです?
そう問われて拍子抜けしたのも仕方ないだろう。
「レイさん僕ら、結構普通に喋ってたけど起きなかったんだよ?」
「え、そうなのか?」
「なのにリヴァイ警部の一言で起きるなんて、どういうメカニズム?」
随分深く墜ちていた、と自分でも驚いた。
リヴァイが居るって事は、気配が近くにあったのかもしれないが。
それがあろうと、ここは外なのに。
「この子はまだ起きていないのか」
俺に凭れかかり、すやすやと眠る子供。
顔にかかる髪を避けてやっても、起きる気配は無い。
「コナン君疲れちゃったのかなぁ」
「……車まで運ぼうか」
「お願いします」
レイはコナンを抱いたまま先に駐車場へ向かっていった。
残された面子も動こうとしていた時、リヴァイがくつくつと笑い出した。
「珍しいなリヴァイ君。
君が笑うなんて」
「レイが面白くてな。
……あいつ、人肌があると安心して眠りが深くなるんだ。可愛いだろ?」
「んん?はっはっは!
それは意外な一面を……!」
目暮警部が明るく笑う。
普段のクールすぎる振る舞いからは微塵も感じられない事実だった。
「これレイ君のファンが知ったら黙っちゃ居ないわよ……ギャップが激しすぎる!」
「じゃあ普段は睡眠が浅いんですかね……大変そうだ」
「やだーレイ刑事かわいい!」
「……で、何でそれをリヴァイ殿が知ってるんだ?」
その後、レイは生暖かい目線を感じる事が増えたという。
((なんだ……なんだこの生温い視線は……)……はぁ、)
(いつの間にか結構広まってるわね、レイ君居心地悪そう)
(でも、あのレイさんにもそんなところあるんですね)
((どうなってるんだ……??))
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