#2



何か、近寄りたくない。あの空気に。
デントは至って普通だけど、あのカベルネとかいう女子に近づきたくない。
なんつーか・・・あのドロドロした感じのに近寄りたくない。

触らぬ神になんとやら、だ。

デントと向き合って(一方的に)にらみ合っているカベルネの様子を見れば、「ああ、めんどくさ」ってなるよ。うん。

うし、避難しよう。
「あんたもね!!手持ち総入れ替えしてもらうからああああ!!!」
「・・・何言ってんだあいつ」
避難しようとした矢先に、カベルネの叫びが聞こえたので、ゆっっくり振り返った。

「・・・何か言ったか」
そう言ったヤヅキの顔は、ロケット団を吹っ飛ばした時並に怖かったと彼女の仲間は証言した←

「ぐ・・・あ、あんたも、手持ち総入れ替えしなきゃダメなの!!
あなたと・・・えっと、シェイミの相性は最悪なんだから!!」
ここで、ヤヅキの何かがプチっと切れた。

それを察したデントがフォローに入った。
「いや、ヤヅキもサトシとピカチュウと同じように、相性いいよ。
カベルネ、どうやら君のテイスティングには問題があるみたいだ」

「そもそも・・・あんたにどうこう言われる筋合いはない。
なんなら、今から相手してあげるけど・・・?加減できる自信ないけど。」
さっきのカベルネの言葉には、シェイミもプチっと来ていたようだ。

2人で真っ黒なオーラを撒き散らしながらカベルネを睨む。
殺気・・・は出てるかわかんないけど。

「いや、ここはポケモンソムリエ同士として、僕がするよ」
「・・・わかった。ぜってえに勝てよ!!自分は喉乾いたからジュースでも買ってくんよ」
「そう・・・わかった。早めに戻ってきてね」

イライラしながら自動販売機を探すヤヅキだった。



戻ってみれば、バトルは終盤に差し掛かっていた。
倒れたメブキジカに駆け寄るカベルネが視界に入る。

「その様子だと勝ったみてぇだな」
口は荒いままだが、いくらか落ち着いた様子のヤヅキ。

その手には5本のサイコソーダがあった。
「ほら、やんよ」
「わ、冷たー・・・!」
アイリスやサトシにもソーダを渡し、最後にカベルネを見やる。

「ほら、やる」
「・・・?」
「お前のテイスティングはくっそムカついたがな。
自分の意見を言うと、サトシや自分の事を詳しく知らねぇくせに、よくそんなひでぇ事が言えるもんだと感心してた。」
「・・・そんなに酷かったの?」
「傷ついた。」

そして沈黙。
それを破ったのはヤヅキだった。
「自分の意見を押し付けるだけってえのはどうかと思うぞ。
お前はソムリエに向いてない。すぐやめろ」
「!? やだ!!」
「・・・今、あんたの気持ち、多分さっきの自分と同じだ。
お前がソムリエに向いてるだの、向いてないだの・・・自分に言えたもんじゃねぇ。
相手の事をよく見て、ちゃんとしたコメントしてやれるようになりゃあいいんじゃねぇの??」
「・・・そうかも」
「んじゃ、頑張れ。とりあえずそれ飲んどけ」

先程手渡したソーダを指させば、頷くカベルネ。

[ミィも飲む!]
「ああうん、はい」
フードからひょっこり顔を出したシェイミにソーダを飲ませる。
[おいしー・・・]
「お前ソーダ好きだっけ?」

ソーダうまいよね。
炭酸好きなんだよ、自分。

なんやかんややっている内に時は経ち、夕方になった。
デントがカベルネに何か色々言ってるけど無視。
デントのテイスティング(?)に顔を真っ赤にして怒り出したカベルネは脱兎のごとくその場を走り去っていった。

「何か騒がしい奴だな」
「あはは・・・才能はあると思うんだけどね」
「自分には分かんねぇな。」

小さくなっていくカベルネの背中を笑いながら眺めていたヤヅキだった。






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