「………栄養失調と、凍傷……あとは銃の傷ぐらいか」

「助かるか?」

「あぁ、大丈夫だ
血は止まったし、点滴も打ってる
凍傷も処置はした
まだ間に合いそうだ」

それを聞いた俺はほっと胸を撫で下ろした
結局、男達は鳩尾を蹴りあげて気絶させてきた
ついでにマリモ野郎は俺より早く戻ってきていた
取り越し苦労だったが、あいつが迷子じゃなければこの子を見つけられなかったから、今回だけは感謝してやっても良いかもしれない

……で、勝手に拾ってきちまったが、皆はこの子をどう思うのだろう
船長はなんと言うだろうか

「………さて、説明をお願いするわ、サンジ君」

で、ナミさん達に取り調べを受けることになった
どこから話せば良いのやら、と少し悩んだが、まずは街で見た撃ち落とされた所から話すことにした









全てを話し終える頃には、皆の顔が曇っていた
やはり、思う所があるのだろう

「……放っておけなかったとはいえ、勝手な行動をして済まなかった」

「いいやサンジ、おめぇは男だ!
よく助けた!」

「だがようフランキー……ホントにわりぃ奴だったらどうする?」

「そんときゃ倒せばいい」

マリモがボソリと呟く
……確かに、そうするしかない
まだ名前も知らないんだ
素性の知れない奴なんだ
そうするのが妥当と言えるだろう

……俺にあの子が倒せるだろうか
きっと、無理だ

「まぁともかく様子見ね
その子何時起きそう?」

「危険な状態だったからな……数日はかかると思うぞ」

その時、誰も居ない筈の廊下から物音がした
近かったウソップがようすを見て、叫んだ

「うわわっ!!?」

「どうした……、!
おまえ、気づいたのか!」

廊下一面に黒い羽が広がっている
確かに、烏だ
チョッパーは寝ていなきゃ駄目だと言うが、聞こえていないのか反応が無い

「……なに、みんな、また……」

何かを呟いて、ドサリと床に沈む
抜け落ちた羽が幾つか舞った

慌てて駆け寄ったサンジが抱き起す
どうやら無理矢理起きてきた様だ
点滴も引き抜かれ、血が垂れている

「おい、返事しろっ
大丈夫か」

「…………」

「……はぁ…また気絶しちまったみてぇだな」

サンジが抱き上げて運ぶ
それを見たクルーは唖然としていた

「ホントに烏だ」

「でも、本当にまだ子供なんだ
すげぇ痩せてて……何日も食べてないみたいに」

サンジの話を信じていない訳では無いが、今一実感が沸かなかったメンバーも実際に見て納得が行った

「おーいチョッパー!
点滴もう一回刺してやってくれ!」

「ああ、わかった!」

医務室からそんな声が聞こえ、チョッパーが走りだして行く
と、同時に我らが船長が顔を上げてこう言い放った

「あいつ、仲間にしてぇ!」

「何を言い出すかッ!!」

「だってあの鳥、悪いやつじゃなさそうだし」

「なんでもホイホイ仲間にするって言うな!!」

ナミの拳骨がルフィの頭上に落ちた






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