不死鳥の騎士団の本部となっているブラック邸。
そこでは、リヴァイとレイが特別に与えられている部屋があった。

2回の端にある、書斎。
書斎と言っても殆ど書庫の様な扱いで、あまり用が出来ることもない。


その部屋の前で、立ち止まる人物がいた。
フレッドとジョージ。
ウィーズリー家の双子は、モリーから食事ができたから二人を呼んできてくれと頼まれてやってきたのだ。

だが、部屋から聞こえる音に、ドアを開けて驚かせてやろうという思考が一旦吹っ飛ぶ。

「っ……く、きっつ」

「あと少しだ」

「いや、っ……だ、からって、…………おすな、いたい!」

「はッ、終わらせねーと開放しねーぞ」

「……っう、……っはあ、くそっ」

ちょっと。この会話は。
双子は顔を見合わせる。

まずいんじゃないですかね。
まずいとおもいます。
どうしますかね。
にげましょう。

そろり、そろりと歩き、階段にたどり着くや否や、転がるように駆け下りた。

「……あら、二人とも、リヴァイとレイは?」

「え?あ、あぁ……その」

「いや……なんか、手が離せないみたいで?」

「もうちょっと、かかるとか?」

目を泳がせながら言う二人に不信感を持ったモリーは、別の人間を派遣させることにした。

「ジニー、お願いできるかしら」

「はーい」

そうしてジニーも上がっていくが、すぐさま戻ってきてしまう。
どこか赤い顔で。
聞けば、手が離せないみたい、と。

まったく、みんな揃ってどうしたの!
それが誤魔化しであると気づいていたモリーはプリプリ怒りながら今度は大人を派遣する事にした。
丁度通り掛かったシリウスとリーマスに向かわせる。

あ、と微妙な表情を浮かべた双子とジニーが後を付いて行く。

モリーは一人、なんなの?あの子たち。と疑問を零していた。











「…………」

「…………シリウス、頼む」

「いや、リーマス。ここはお前が」

「教え子のそういう所に遭遇したくない」

「私だって名づけ子の同級生のそういう所に遭遇したくない」

部屋から聞こえるレイの呼吸音と、ぎしりと何かが軋む音に二人も赤いんだか青いんだかの顔をしながら固まった。
あとから付いてきた兄妹達はやっぱ、お取り込み中ですよねアレ。と目配せしてる。

「…………どうする、シリウス」

「………………どうする、って……どうしようも」

「……わかった、開けよう」

「まった、リーマス……」

どうしよう。
どうにもならん。

ぐっ、と息を呑んだ時、ガチャっと急にドアが開かれた。
ばっちりレイと目があったシリウスは思わず後退る。

「……さっきから人がうろちょろしてると思えば、何?」

「き、気づいてたのか」

「俺がすごく耳がいいんの忘れたか?
で、何。」

やや上気した頬にたらりと流れる汗。
おまけに薄着で、上はタンクトップだ。
下はマグルで言うジャージで、丈が脛あたりまで捲ってある。

「いや……何してたんだ?」

「何って、筋トレ」

「…………えっ」

「筋トレ」

沈黙が降りる。なんて勘違いを。
それを後ろから見ていたリヴァイがニヤリと笑った。
なるほどな、と呟いたその顔は完全に悪人である。

「お前ら、俺とレイがここで及んでるとでも思ったか」

「うわ、リヴァイ、君ってば直球だね……」

「図星か」

「……お前ら、リヴァイをどんな目で見てんだ」

「流石にこうも人の多い所でしない」

「人居なかったらするのかよ!?」

「家に帰ってたらな」

シリウスは頭を抱えた。なんだこいつら。本当に。
でも筋トレって……どうしてまた?と問いかけたリーマスに、二人は当たり前のように言った。

「いつもは模擬戦をしてるが……ここじゃそうはいかないだろう」

「体力維持云々の理由により、筋トレを」

「外に出れないんじゃ落ちる一方だからな」

あっけからんという二人に、5人は僕らの苦悩を返せ、と同時に心の中で呟いた。












+α

フレッド「筋トレって、どれくらいやってるの?」

リヴァイ「腕立て、腹筋、背筋……あと体幹トレーニングとか」

レイ「筋肉ばかり増えても邪魔だから、調節しながらだな」

ジョージ「俺らもするか?相棒」

フレ「いいかもなぁ」

リ「そういえばレイ、最後の50回終わってねーぞ」

レイ「えっ」








「っふ、くっそ!きつい!」

「おら、ちゃんとやれ」

「お前は重いっ、つーの!っはあ、誰か、他の奴!呼べ!」

そこには奇妙な光景が広がっていた。
腕立てをするレイと、その背に悠然と座って重しになるリヴァイ。
そしてレイはそのまま腕立てをやらされている。毒を吐きながら。

「っは、……っ、」

「あと30回」

「きつい、リヴァイまじで。お前、65も!あるんだぞ。自重しろっ」

「28、27、26……あと25」

レイのうえで胡座をかき、回数を数えるリヴァイ。
そんな状態ながら、腕立てを続けるレイ。
無茶苦茶だ。

そしてそんな光景を見た騎士団員やら同級生やらは困惑していた。
フレッドとジョージは凄え、と口元をひくつかせているし、リーマスはレイの応援をし始めた。
そして勘違いをしていた事に若干絶望しているシリウス。
因みに他4人は忘れることにした。賢明である。

「よし、終わりだ」

「っはあ、……っ…………っ、ん……リヴァイ、水」

「ほら」




「にしても」

「レイの声エッロいな」

「元々色気すげーじゃん?」

「それが、あの格好と」

「疲労により5割増し!」

「写真売れるんじゃね?」







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