江戸川君と会うことも多くなった。
その友達とも。
特に、ポアロで。
「あ! 凪姉ちゃん!」
「江戸川君……こんにちは」
「こんにちは! ポアロ行くの?」
「うん、そうです」
子供相手(中身はさておき)だと気が緩んでしまって素が出そうになる。
いや、これは一瞬出たな……。
「江戸川君、折角だから一つだけなにか奢りますよ」
「えっいいの?じゃあジュース飲みたいな」
「どれか選んで」
「じゃあこれ!」
「はい。私は……これにするか」
やっべ、途中から素だった。
危なすぎる。
工藤の前レベルの素だ。
注文した物が届くまでの間、江戸川君と雑談することにした。
なんとなく、工藤の切り口で話しかける。
「工藤君のいとこ……遠縁?なんだっけ」
「親戚だよ」
「そうですか。工藤君とは仲がいいの?」
「うん! ホームズの話とか事件の話とか聞くよ」
あぁコナン君可愛い。
中身がどうこうはさておき。
口元がにやけそうなのをコーヒーを飲んで誤魔化した。
コーヒー美味しい。
「凪さんブラックなの?」
「うん、ブラック。
美味しいけど……コナン君にはちょっと苦いかも」
飲んでみる?と差し出してみたけど遠慮された。
ジュースとコーヒーの味が口の中でミックスされそうだから私もコナン君の立場なら遠慮するだろう。
「凪さんって静かだね」
「……よく、言われますよ。
あ、喋るのが嫌とか、そういうことは無いので……。
話しかけてくれて大丈夫だから」
「そうなの?僕てっきり嫌なのかなって」
「んー、そう見えるみたいだけど……親しくない人から話しかけられても、気を遣って疲れちゃうし、自然と避けてるのかもね」
そもそも周囲と話が合いませんので。
とは言わなかったけど内心呟いた。
そりゃ年齢差5ならまだしも15近く違ってきますからええ。
同級生からすればとんだBBAである。
辛い。
それと、二度目の大学受験があるのかと遠い目になった。
資格や免許は前と同じのを取りなおしてあるけど、車はまだ年齢的にアウトだ。
あと一年は待たなければ。
受験……はぁ。
「凪さんどうしたの?」
「ん?」
「目閉じてるから、疲れたのかなって」
「あぁ……癖で、何か考えてると目閉じちゃって。
疲れた訳じゃありませんよ。」
こうしている間に、コナン君のジュースは無くなってしまった。
おかわりいる?と聞いてみるも大丈夫と返され、ならいいかとコーヒーをまた一口飲んだ。
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