「つまりこの犯行は……貴方にしか出来ないって訳ですよ……!!」
「くっ……」
毛利探偵(コナン)の推理は、見事的中したらしい。
犯人と思しき人間は、悔しそうに顔をゆがめている。
やっとこれで帰れる。
この窃盗事件も解決した。
人も誰も死ななかった事に安堵し、ふと時計を見ると夜の9時になっていた。
うわぁ、と内心呟いた。
帰って寝たいよ……。
もう犯人は分かったのだから、あとは連行してもらうだけ。
はやく、はやく。
「動くんじゃねえ!!」
「っ……!!」
「少しでも動いてみろ警察。
こいつがどうなるかっ……!!」
後ろには犯人と言われた人間。
目の前には、キラリと光るナイフ。
首には太い腕。
まじか。
人質?
ねぇ私帰りたい。
「ねぇ煩い。
こんな物騒な物突きつけないで面倒だな。
私ははやく帰りたいの。
どけ」
「はっ?」
首に回っていた腕を掴んで引き剥がす。
案外すんなり外れた腕から抜けだして荷物を置いた部屋の隅に向かった。
鞄を肩にかけ、周りを見ると呆然としていた。
「……捕まえないの?」
「かっ確保ーーっ!!!」
目暮警部の号令で刑事さんたちが飛びかかる。
まさに多勢に無勢。
犯人は一瞬で捕らえられた。
「凪君!怪我は!?」
「血一滴も流してませんよ。
私帰ります」
お先に失礼します、と頭をさげて撤退した。
今日は一段と疲れた、眠い。
後になって、後日事情聴取するから!と連絡が来て私のテンションは急降下した。
とにかく寝よう、と夜道を足早に通り抜けた。
「……凪の奴」
「すっごい度胸だね…………」
「お、おい、あんな奴だったか?」
「凪姉ちゃん機嫌悪かったみたいだね」
「機嫌が悪いで済むかぁ??」
犯人を押しのけ帰ったあの姿を思い出す。
目が据わってた、というか、怒っていた、というか。
あれには警察も拍子抜けしたものだ。
救出しようと動き始める前に自ら抜けだしてしまった(いや良い事なんだけど)凪本人はというとさっさと帰ってしまうし。
「僕、今から追いかけて送ってきます……!」
「そうしてやってくれ」
お陰で高木刑事が追いかける羽目になってる。
凪ってたまにとんでもないことするよな、と学生時代の事も思い出してしまいげんなりしたコナンだが、保護者と共に佐藤刑事に送ってもらって帰宅したのだった。
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